不妊治療は無料

世界銀行の2022年の合計特殊出生率の調査によると、女性1人当たりの出生数はイスラエルが2.90で、ヨーロッパを中心に日米を含め38カ国の先進国が加盟する国際機関OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で第1位でした。

日本は1.26人で、イスラエルの出生率は日本の倍以上です。

イスラエルの人口の大半はユダヤ人で、「産めよ、増やせよ、地に満ちよ」というユダヤ教の教えがあり、厳格なユダヤ教徒はこの教えを守り、できる限り子どもを産みます。とはいえ、出生率の高さに驚く日本人も多いのではないでしょうか。

イスラエルには、幸せは子どもが運んでくるという意味の「子どもは幸せ」ということわざがあるほど、イスラエル人は子どもに関することはすべて善いことだと捉えています。

イスラエルは子育てしながら働く女性が多い国ですが、出生率が高い背景には、子育てを負担だと感じることのない社会システムがあります。

イスラエルでは、女性が45歳になるまでは、現在のパートナーとの間に2人の子どもを得るまでの期間、体外受精の費用が全額、国の保険でまかなわれ、不妊治療を無料で受けることができます。そのためか、1人当たりの不妊治療回数は世界で最も多くなっています。

実はフェムテック先進国

不妊や、月経、妊娠、更年期、婦人科系疾患など女性が抱える健康上の課題を、テクノロジーで解決するフェムテック分野の企業がイスラエルには約100社あり、現在も数を増やしています。

フェムテックはFemale(女性)とTechnology(技術)を掛け合わせた造語で、女性の社会進出、活躍を推進するものとして注目されています。

中東最大のイスラエルの国立病院内にフェムテック専門のイノベーションセンターが設置されるなど、国全体で研究開発を支える仕組みがフェムテック企業が多く生まれている背景です。

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イスラエルでは出産に関する制度も充実しており、妊婦検診から出産まで、国が全額費用を負担します。

また、出産前の産休は3カ月半取ることができ、その間、産休前の給与が補償されます。有休を使用すると2カ月半の休暇を取ることができ、無給の休暇を加えて1年間休むこともできます。

ただ会社は、出産による休暇が半年を超えるとポジション確保の義務がなくなるため、多くの女性は半年で復帰するようです。

しかし、スタートアップが盛んなイスラエルは転職しやすい環境にあるため、ゆっくり子どもと時間を共にした後に、新たに職を探す女性もいます。