子どもに対する「侮蔑ワード」は、平手打ちするのと同等

一方、やる気スイッチである「ほめ言葉」とは真逆のネガティブワードを子どもへぶつけると、いったい何が起こるのでしょうか?

実は、「バカ」「頭が悪い」「ダメな人間だ」などの侮蔑的な言葉をかけると、「顔面平手打ち」をしたのと同程度のダメージを脳に与えることがわかっています。

オランダのユトレヒト大学が行った研究によると、79人の被験者の頭部に脳波計と電極を装着したうえで侮蔑と賛辞、それぞれの意味を含む文章を読み上げてもらったところ、被験者たちの脳は侮蔑の言葉に対してより素早く、敏感に反応することが確認されました。

さらに、何度も侮蔑が繰り返されると、頬に平手打ちを受けたときと同等のダメージが脳に加わり、それが長期間留まることもわかりました。

親からの強烈な否定の言葉は一生刻まれる

近年、家庭内や教育現場でのモラルハラスメントが問題視されるようになっています。

家族や親しい間柄になると、遠慮がなくなってしまい、感情的になってついつい、相手に辛辣しんらつな言葉をぶつけてしまうこともあるでしょう。しかし、そんな侮蔑的な言葉が、例えば親から子どもへ日常的に注がれることは、まさしく「言葉の暴力」となってしまうのです。

親御さんの側も、自分の経験を振り返ってみれば、「子どものころに親からかけられた否定的な一言が今でも忘れられない」と思い当たる人が、少なからずいるでしょう。

心と記憶に刻まれて、自尊心や自己肯定感を損なうことにもつながり、子どもの成長にとって何もよいことがありません。まさに、平手打ちレベルの「脳へのダメージ」です。

ネガティブワードを子どもにぶつけることは、家庭内では禁忌タブーとすることをおすすめします。