[習慣1]家族にしっかり話を聞いてもらえる環境がある

「家の人に話をしっかり聞いてもらっている」という項目に対して、成績上位4分の1グループは約60%が「当てはまる」と回答しました。対して、成績下位4分の1グループは約50%と、約10%の差がありました。

「なんだ、10%か」と、とっさに思ってしまうところですが、統計的には意味のある差といえます。家族とのコミュニケーションが密であるほど、学力が高まる傾向にあることは間違いありません。

私たちは、同時に「何のために勉強をするのか?」を問う質問群の中で、「自分の将来のため(目的意識)」や「知りたいことがあるから(探求心)」について自分がどれだけ当てはまるかを自己評価してもらうアンケート調査も行いました。そして、これらの調査データを心理学、認知科学、脳科学の研究者に提出して解析を依頼。

その結果、家族とのコミュニケーションが多い子ほど、目的意識や探求心が高まる傾向のあることがわかったのです。

[習慣②]親子で一緒に過ごす時間を長くする

コミュニケーションの時間の長さも、子どもの脳には非常に大きな影響を与えます。

私たちは、5歳から18歳の230人の子どもの脳画像と、親と過ごす時間に関するアンケート調査、そして知能検査を解析した研究からその事実を明らかにしました。親子で一緒に過ごす時間が長い子どもほど、言語や言外のコミュニケーションに関わる領域の体積が大きく発達していたのです。

こうした脳の変化が子どもたちにどのような影響をもたらすのか。その答えが知能検査にはっきりと表れました。

2回行われた知能検査で、1回目は親と過ごす時間が長い子どもほど言語能力が高いことが示され、その数年後に行った2回目の検査では、言語能力の上昇がより大きいことがわかったのです。

子どもたちの言語能力を飛躍的に向上させるブースターは「親子でたくさん会話すること」だったのです。