[理由2]睡眠不足で脳の構造が変質する

理由の2つ目は、さらに深刻です。なぜなら、脳の構造自体を変質させてしまうからです。

睡眠不足の子どもは、学習や記憶と関わる重要な部位である脳の「海馬」が十分に発達しなくなることが、私たちの研究によって確認されています。

2008年(平成20年)から4年間、仙台市の子どもを対象に、脳のMRI画像で睡眠時間に関する調査を実施、分析したところ、海馬の発達と睡眠時間は正相関することがわかりました。

つまり、睡眠時間が長い子どもの海馬はよく育ち、睡眠時間が短い子どもの海馬は十分に育っていない、ということです。学校の成績にも、それは如実に表れていました。

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最も成績がよい子どもの睡眠時間は「8~9時間」

さらに、2014年(平成26年)に仙台市の子どもたちの睡眠時間と学力(国語と算数)の関係を調査したところ、図表1のグラフのような結果となりました。

国語、算数ともに、最も成績がよい子どもの睡眠時間は「8~9時間」。『脳科学研究がつきとめた「頭のよい子」を育てるすごい習慣』より

国語、算数ともに、最も成績がよい子どもの睡眠時間は「8~9時間」であることがわかります。そこから睡眠時間が短くなるにつれて、成績も下降していきます。

面白いのは、睡眠時間が9時間以上になっても成績は下がっていくということ。寝過ぎるのもよくない……ともいわれますが、私は「生活が不規則で、睡眠時間が長いわりには良質な睡眠がとれていないため、すっきりと目覚められずにダラダラ寝ている」可能性が高いと考えています。

やはり、「早寝、早起き」も脳発達に欠かせない重要な要素なのです。