[理由3]記憶を定着させるためには「レム睡眠」が必須

理由の3つ目は、「脳内に記憶を定着させるには『レム睡眠』が必須」ということです。

川島隆太『脳科学研究がつきとめた「頭のよい子」を育てるすごい習慣』(プレジデント社)
川島隆太『脳科学研究がつきとめた「頭のよい子」を育てるすごい習慣』(プレジデント社)

私たちが眠っているとき、深い眠りと浅い眠りを何度も繰り返していることは、皆さんもご存じでしょう。

学習したことを定着させるために非常に重要なのが、この睡眠リズムです。

人間の睡眠は、浅い眠りの「レム睡眠」と、深い眠りの「ノンレム睡眠」が約90分周期で変動しています。このレム睡眠のときに、私たちの脳内では日中に学習したことや経験したことを情報処理し、必要なものを選り分けて記憶に定着させる作業が行われています。

8時間の睡眠時間があれば、記憶定着のためのレム睡眠が6~7回得られるといわれています。ところが、睡眠時間が6時間になると、レム睡眠の回数は4回程度になってしまいます。

つまり、記憶を定着させるための回数が減ってしまうということです。

睡眠時間が短い子どもの成績が低いのは「必然」

習ったことの復習を毎日6~7回行っている子どもと、4回行っている子どもの成績を比べたとき、当然ながら後者はかなり不利になるでしょう。

睡眠時間が短い子どもの成績が低くなるのは、必然といえるのです。

私が所属している東北大学で、医学部に合格した学生たちに「大学受験のときには何時に就寝していましたか」と尋ねると、8割方が「夜11時前」と答えます。

同様に、民間のある調査では、東京大学合格者のうち「受験期も夜11時前に就寝していた」という学生が約75%もいたといいます。