学ぶとは「自分は未熟だ」と知ること

年を重ねてからの学びの最大の効果は「謙虚さを覚える」ことだと私は考えています。学ぶプロセスの中では、分からないことやできないことに直面して落ち込むことがあったり、失敗して反省したりすることも多々あります。

「学ぶ=知っていることやできることが増える」と思っている方も多いかもしれませんが、むしろ学べば学ぶほど自分がいかに未熟で、まだまだなのかを思い知らされることのほうが多いものです。

学び続ける中で謙虚さを身につけると、くだらないことに腹が立たなくなります。自分の思い通りにいかずにイライラするのは、単にその人が学んでおらず未熟だからです。

自分が未熟であると気づいても悲観する必要は全くありません。それはあくまでも現状を把握したにすぎないからです。人は気づいたときからがスタート。あるべき姿に向かって、昨日よりも今日、今日よりも明日と一歩ずつでもいいから進んでいくそのプロセスこそが、人を成長させ人生をより豊かにしていくと私は思います。

日本は先進国一「大人が学ばない国」

ここまで学び、学びと連呼してきましたが、そもそも日本の大人たちには学び癖がありません。「学び=学校の勉強」と勘違いしている人も少なくなく、学校を卒業してから止まってしまっている人もいます。

日本は世界と比較しても「大人が学ばない国」です。会社は従業員の学びに投資をしないし、個人でもあえて学ぼうとする人は少数です。これは様々な調査データからも明らかになっています。

OJTを除いた企業の人材投資額をGDPと比較すると、日本はわずか0.1%。それも年々減少傾向にあります。もちろん先進国の中では最低です。アメリカの人材投資額のGDP比は2.08%。その差は歴然です(厚生労働省「平成30年版 労働経済の分析」)。

また、パーソル総合研究所の「APAC就業実態・成長意識調査(2019)」によると、日本の社会人で社外学習・自己啓発を行っていない人の割合は46.3%。他国に圧倒的な差をつけて、ぶっちぎりのワースト1です。読書さえしない人が大半です。

パーソル総合研究所「APAC就業実態・成長意識調査(2019)」より

同じ調査でベトナムはわずか2.0%。つまり98%の人が何かしらの学習や自己啓発を自分でやっているということです。