「今のままで十分」と思ったら終わり
より最近の調査では、業務外の学習は何もしていないと答える人が過半数を超えたとする結果もあります。
学習意欲や学習時間は、男性は40代以降、女性は30代以降に大きく減少しており、その背景には「学びは若い人や新人だけがやるもの」といった思い込みや、「今のままで十分」という現状維持バイアスがあるとも指摘されています(パーソル総合研究所「学び合う組織に関する定量調査」)。
私たちは誰しも環境に適応しようとする性質があります。学ばない人ばかりの環境にいれば、自分も学ばなくなる人のほうが多いでしょう。本稿のテーマは「老害化したくないなら学びましょう」というシンプルなものですが、年を重ねて学び続けるというのはよほど強く意識をしないと、実は難しいのです。
学んでいるつもりが偏っていく“落とし穴”
さらに、学ぼうという意欲がある人でも陥ってしまいがちな落とし穴があります。それが偏った情報に左右され、知らず知らずのうちに思想が固まってしまうことです。具体的には「エコーチェンバー」や「フィルターバブル」という現象があります。
エコーチェンバーとは、SNS上で自分と似たような価値観の人から発信された情報や同じようなニュースや情報ばかりが増幅することを言います。実際には価値観が多様化しているはずなのに、SNS上では自分と同じような意見を発信している人ばかりに見えてしまいます。
また、フィルターバブルとは、検索サイトなどのアルゴリズムによって、こちらの意思とは関係なく自分の趣味嗜好や価値観に合った情報が優先的に表示される現象のことを言います。知らないうちに、自分とは関係のない情報や見たくない情報からシャットアウトされてしまいます。