前頭葉が老化し、感情が制御できなくなる

1つは脳機能が衰えるからです。何もしなければ年齢とともに身体が弱ってくるように、脳も使わなければどんどん衰えていきます。脳の老化というと認知症をイメージしやすいですが、老化は感情からはじまるとも言われています。

感情のコントロールを司るのは脳の前頭葉と言われる部分です。幼い子供が感情的な言動をとってしまうのは前頭葉が未発達だから。そして早い人では40代を超えると、前頭葉が萎縮していくそうです。前頭葉が老化すると感情のコントロールが鈍り、自分でも気づかないうちに昔より気難しくなったり、イライラしたりするようになってしまいます。放っておくと、幼い子どものようにワガママになってしまうものです。

ではそうならないためには、どうすればいいのでしょうか? それは、脳に刺激を与えることです。つまり、学ぶこと。学びを通してさまざまなことを感じ、脳を稼働させ続けることは、脳の筋トレをしているのと同じこと。身体以上に脳は何歳になっても鍛えることができます。

50代がターニングポイントとしたもう1つの理由は、周囲からのフィードバックの量が減ってしまうからです。50代にもなれば、会社の中でもそれなりのポジションについている方も多いでしょう。若い頃であれば周囲の方から逐一フィードバック(時に耳の痛い指摘も含め)をもらえますが、年を重ね、立場や肩書きが上がっていくと誰もなにも言ってくれなくなります。

かなり強く意識をしない限りは、自分を客観的に振り返る機会が減ってしまい、裸の王様になってしまいます。裸の王様になることほど、怖いことはありません。

歳の離れた若い友人を持つ効用

年齢からくる脳の衰え。加えて周囲の人々との関係の変化。これらを踏まえて、50歳以上の方々に強くオススメしたいのが「歳の離れた、若い友人を持つ」ことです。

私も若い頃には、父世代の方々にたくさん可愛がっていただきました。いま自分がその年齢になり、今度は逆に20~30代の若い世代の方々とたくさん交流をさせていただいております。年齢の離れた方から学ぶことはたくさんあります。私とは全く違う価値観を持ち、私が知らないことをたくさん知っている彼らの話はとても刺激的です。

車椅子の老人女性
写真=iStock.com/fotografixx
※写真はイメージです

ただし、私がどれだけ「年齢の離れた友人が欲しい」と思っていても、彼ら・彼女らが私に対して同じような好意を持ってくれたり、興味を持ってくれたりしなければ、それは単なる自己満足の独り相撲になってしまいます。歳の離れた友人を持つということは、その人たちにとっても魅力的な自分であり続ける努力とセットなのです。