観光ではわからなかった「日本の驚きの風景」

しかし、日本に移住して初めて経験することも多く、彼らが驚くこともある。

たとえば、50代のある中国人は東京都内に一軒家を建設したが、その際、地鎮祭にビックリしたという話をしてくれた。地鎮祭とは、建物を建てる際、工事の無事を祈願するために行う儀式だが、中国には存在しない日本独自のものだ。

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その中国人は施主として出席したが、「神職の方の所作や言葉が興味深く、また、とても清々しい気持ちになりました。ご近所の方々にもこの機会にご挨拶ができてよかった。日本には何度も旅行で来ていましたが、こういう神聖な儀式が存在することは、これまでまったく知りませんでした。とても日本らしい儀式で、心から工事の無事を祈ることができました」と話す。

30代のある中国人は、都心のタワーマンションに引っ越したあと、毎朝ジョギングをする際に出会った小学生の集団登校や、小学生を見守る地域ボランティアのスタッフに感動した、という話をしてくれた。その中国人も移住前、日本に何度も旅行に来ていたが、町で小学生を見かける機会はほとんどなかったそうだ。

黄色い帽子で集団登校する姿にほっこり

「朝8時頃でしょうか。マンションの目の前が通学路になっていて、小学生が数人ずつ黄色い帽子を被り、ランドセルを背負って、一緒に歩いていました。私が覚えたての日本語で、思い切って『おはようございます』と声をかけると、子どもたちが元気よく『おはようございます』と返してくれました。とてもうれしかった。

また、地域のボランティアの方々がおそろいのベストを着て、小さな旗を持って子どもたちを誘導し、安全を見守っている姿を目にしたときには、本当に日本はすばらしい国だと思いました。

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私の出身地の北京では、両親や祖父母、お手伝いさんが子どもを学校まで送っていきますが、集団登校はありません。子どもだけで通学することは、とても危険だからです。送る際も、それぞれの自動車で校門まで送っていきますので、子どもたちが友だちとおしゃべりしながら登校するということはないんです。

帰りも、学校を出たら、それぞれの迎えの車に乗って帰るか、習い事などに直行しますのでバラバラ。そういうのが当たり前でしたから、日本の小学生が楽しそうにおしゃべりしながら通学するというのは新鮮な驚きであり、感動でした。日本が平和で安全な証拠だと思います」(30代の男性)