若者が幼稚化しているとは言えない

石丸は確かに動画を駆使した。主にユーチューブやティックトックである。だが、小池や蓮舫も都知事選挙では動画発信に注力していた。石丸だけが動画を使っていたわけではない。繰り返すように、小池や蓮舫の言う、7つのゼロや行財政改革すらも、その言葉の意味を理解するだけの知識や知性が足りない一部の若年層が、石丸を支持したのだ。

これは「幼稚化」といってよいのだろうか。18、19歳といえば誕生日の関係もあるが、高校3年生か、大学生などになる。さすがに分別がついてきた年頃だと思うがどうだろうか。

ところで最近、「激辛ポテトチップス」を食べた都内の高校生14人が救急車で運ばれるという事件があった。負傷者には悪いが、ティーンにはよくある悪ふざけである。こういう「ノリ」で馬鹿なことをやってしまう経験は、多くの人が持っているだろう。私が高校生だった1990年代後半にも、この手の同級生はいた。

若年層は人格形成が途上であり、教育で身に付けた後天的な人格よりも、生まれ持って備わった個性がより色濃く出る傾向が強い。だから粗暴な性質や、逆に慎重で思慮深い性格、或いは記憶力や学習速度において、その者の生来の個性がかなり表出される年代である。高校生でずば抜けて大人びており、読書量が豊富で分析眼に富んでいるものがいる一方で、極めて幼稚な同年代も大勢いる。だから、激辛ポテチを食べるチャレンジに躍起になっている者の陰で、それを「子供っぽい」と言って冷笑している者も少なくはないのである。

問題は石丸氏に投票した30~50代

事程左様にティーンは成長段階であるから、いまだその者が生来持つ「幼稚さ」が教育や社会経験によって平準化されておらず、その中でも幼稚な性質のものが石丸に感化されるというのは、確かに頷けるところがあるのではないか。

その証拠に、若年層の出口調査では確かに石丸支持は強いが、それなりに小池、蓮舫やその他候補への支持も少なくはなかった。立候補者が何を言っているのか。その政策を短い動画だけではなく、長い文章や討論会の中で吟味し、じっくり投票先を決める。そうした有権者にあって当たり前の態度で投票に臨んだ若年層も少なくはないのだ。ただ、相対的にその割合が低かったというだけの話である。

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ここまで読んでお気づきのことと思うが、若年層、特にティーンが石丸を支持するのは、その善悪は別として、まあ当然といえば当然だ。問題なのは、石丸支持の数的なボリュームゾーンである、30・40・50代が、ティーンの一部と同じような幼稚性を持っている、ということだ。こちらの方がはるかに深刻である。