「一部のブランドバッグは、アウトレットモールで安く手に入ります。ところが、エルメス、シャネル、ルイヴィトンはアウトレットには出店しないし、“並行輸入品”と呼ばれる直営店や正規代理店以外の品物もほとんどありません。だから、リユース品も高く売れるのです」

大きく値上がりしているバッグの一例を挙げれば、19年には中古価格で約200万円だったエルメスの「バーキン」が、23年には360万円になった。シャネルの定番モデル「マトラッセ チェーンバッグ」は11年前と比べると約3倍の値段に。もし、押し入れの奥でこれらのお宝がホコリをかぶっていたらもったいない。

「最近では、当社を含めた多くの買い取り業者がLINEでの査定を受け付けています。お店に行かなくても、1点につき3枚くらい写真を撮って送れば、実査定に近い金額がすぐわかるので便利です」(田口氏)

金を売るならタイミングの見極めを

そのほかにも、ブランドものといえばアクセサリー類が思い浮かぶ。たとえば、20年前に思いきって買った高級品は今でも価値があるのだろうか。

「宝飾品は、新品での価格は高くても、買い取り価格はいまひとつのことが多いです。よほど希少性が高いか、ブランドのネームバリューが強くなければ、定価以上の買い取りをすることはほぼありません」

と田口氏。だが、さきほども述べたように高騰中のきん製品であれば話は別だ。10金(純度42%)以上であれば、たとえチェーンが切れていようと、イヤリングが片方しかなかろうと、刻印が入っていようと、デザインが古かろうと問題なし。重さに応じて査定額が決まるため、1グラムあたりのレートを確認し、高くなっているうちに売るとよい。

田口智章 KOMEHYO名古屋本店本館 バッグ買い取り責任者、シニアチーフ。バッグのほかにアパレル、ジュエリーなどの査定経験も持つ。累計査定人数は1万8000人以上。

たとえブランドものであっても、あまり高くは売れないと思ったほうがいいのは洋服や靴だ。バブルの頃、海外旅行先の免税店でブランドもののネクタイを買ったという人も多いだろう。しかし、ネクタイにも流行の幅や長さがあり、そもそもネクタイを締める人が減った。田口氏によれば、「10年以上前のネクタイは、値段がつかないことも多い」とのこと。

「洋服は流行のサイクルが速いので、売るなら早ければ早いほどいいでしょう。できれば買ってから1~3年以内がおすすめです。『もう着ないかな』と悩んだ服は結局着ないことが多い。そう思ったときが売り時かもしれません」

と田口氏はアドバイスする。

洋服は売るシーズンも重要だ。夏に冬物を持ち込んでも喜ばれない。買い取られた洋服が店頭に並ぶのは、売ってから1~2カ月後。そのシーズンに合わせたものを売るのがコツだ。

KOMEHYOではほかにも楽器やカメラ、着物などが買い取りの対象となる(本店のみ)。KOMEHYO広報の田口玲子氏によると、高額で買い取ってもらうコツは、「そのジャンルに強い店を選ぶこと」なのだそうだ。

「当社はブランド品を総合的に扱っていますが、ロレックスやエルメスを専門的に扱うリユースショップもあります。販売力があるお店は購買力も高くなるので、そのジャンルの品揃えが豊富かどうかを店頭やWebでチェックするといいですよ」

ブランドバッグや高級腕時計は、値上がりが期待できる資産の一種ともいえる。古いものを手放して、新品を買う足しにするのもいいかもしれない。