スポーツビジネスはデータでもっとおもしろくなる

たぶん競走馬のレベルは世界一です。5月にサイバーエージェントの藤田(晋)さんが持っている馬(フォーエバーヤング、坂井瑠星騎乗)が世界最高峰のケンタッキーダービーで勝ちそうになりました。残念ながら、鼻差の3着でしたけど。でも、日本の競走馬はそのくらいのレベルに達してる。

加えて日本中央競馬会の存在です。しっかりした組織なんですよ、これが。おそらく世界で初めて公営ギャンブルでデータ提供を始めています。1992年から始まっているJRA-VAN(子会社のJRAシステムサービスが運営する競馬情報サービス)がそう。パソコン通信で競走データをダウンロードできるという、そんな先進的な取り組みを30年以上前からやってるわけです。他のスポーツでも取り入れるべき。

撮影=プレジデントオンライン編集部
飲食店から宇宙開発まで幅広い事業を手がける堀江さん。話題は競馬や仕事術にも及んだ

〈堀江貴文は全国各地で、さまざまなジャンルの仕事を同時に進めている。加えて新しい仕事にも随時、着手している。日常的に多人数のビジネスパートナーとコミュニケーションをとっている。

CROSS FMの大出、北九州下関フェニックスの竹森のような立場にいる人間が日々、SNSで連絡してくる。時にはオンラインで打ち合わせをする。彼はそれに対して迅速に答えを出し、意図を伝え、実行を促す。

それができるのはデジタル機器を駆使しているからだ。だがそれだけではない〉

「一発で理解できる文章」の達人でもある

現在、ビジネスに限らず、コミュニケーションの基本は文章になっている。長々と電話で指示する経営者はいない。打ち合わせや会議を開催し、口頭で指示を伝達することもある。しかし、それで終わりではなく、必ずメール、SNSで指示を伝達する。文章力がコミュニケーションを左右する。

堀江貴文が他の経営者より抜きんでているのは「誤解されないような文章を書く力」だ。文学的素養と豊富な語彙で、判断と意志を伝えている。

彼のビジネスパートナーは問い直したり、誤解したりすることなく堀江の意図を実行することができる。結果としてコミュニケーションの時間を節約している。

では、彼が書いた文章とはどういったものなのか。ひとつの例を挙げる。NHKの連続テレビ小説『朝ドラ』の感想を書いたFacebookの投稿を一部、省略したもので、原文ママだ。

「特に涙無しにみられなかったのが、戦前最大の冤罪事件『帝人事件』をモチーフにした週だ。政財界の大物に加え贈賄側の株券運び役に見立てられたのが主人公の実父であり主人公は父の無罪を信じて恩師である弁護人を助け見事無罪を勝ち取る。『水面に浮かぶ月光を掬い上げるような』という法曹関係者ならみんな知っているこの表現は帝人事件の無罪判決を書いた東京地裁の判事が書いたものだ」