日本のコンテンツ産業、売り上げ12兆円じゃ納得いかない

米国コンテンツ企業の雄、ディズニーの売上高は約7兆4400億円(2019年9月期)。一社だけで上げた数字だ。対して日本は国全体で12兆円を超えるくらい。「文化GDP」の柱となるマンガやアニメやゲーム、映画、音楽など、様々なコンテンツ企業の売上総額は、このところ12兆円でほぼ横ばいだという。

福原秀己『2030「文化GDP」世界1位の日本』(白秋社)
福原秀己『2030「文化GDP」世界1位の日本』(白秋社)

12兆円という数字に著者は納得がいかない。なぜなら世界のコンテンツ市場において、日本は供給者としての優位性を長く保っている。マンガとアニメは最強のコンテンツであり、とくに〈マンガだけは、おそらく将来にわたって、外国に負けることはない産業である〉からだ。

そう断言する背景には、著者の10年以上に及ぶ実体験がある。03年、メリルリンチ日本証券副社長を辞して米国に渡り、小学館や集英社が出費する在米出版社の社長兼CEOに就任。「少年ジャンプ」英語版を発行して米国にマンガブームを巻き起こす。アニメからライトノベルまで多くの日本作品を運用し、欧州にまで販路を広げた。

マンガ「NARUTO」は米国の大きな賞を受け、「DEATH NOTE」はNetflixで映画化。14年には、トム・クルーズ主演のハリウッド映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』をプロデュースした。原作は桜坂洋のライトノベルだ。