熱中症になったら牛乳を飲んではいけない

その半面、次のようなことが明らかにされています。

「熱中症になってから、タンパク質を多く含んだ食事は体温を上げ、代謝を亢進させ水分を消費させるので避けるべき」(2010年、オハイオ州立大学誌 『Secondary Injury Prevention: Heat Stress』)

つまり、熱中症や脱水症になってから、牛乳を摂取することは避けるべきとされています。

冷たい牛乳でも、摂取するとタンパク質(アミノ酸)の作用により体温を上げてしまうからです。

牛乳は体温を上昇させる

ここまでの話をまとめると、牛乳に含まれるタンパク質、アミノ酸は、体温を上昇させる効果があることがわかりました。

谷口英喜『いのちを守る水分補給』(評言社)

それでは、なぜ、お風呂上がりの体温が高い時期にもかかわらず牛乳を摂取しているのでしょうか。

その答えは「牛乳を飲むことで体温を維持して、湯冷めしないように」。つまり、持続した保温効果を狙って牛乳を摂取することが、本来の目的であることがわかりましたね。

ちなみに私たち麻酔科医は、手術中に患者さんの体温を上げるためにアミノ酸を輸液しています。

ここで、熱中症になったら絶対に飲んではいけない飲料を整理しておきましょう。

①アルコール――体温を上昇させ、利尿作用により脱水症を促進する。
②牛乳・アミノ酸含有飲料――体温を上昇させてしまう。
③大量の真水――水中毒を起こす。

・牛乳は、熱中症や脱水症の予防効果には優れた飲料。
・ただし、熱中症で体温が上昇しているときには控える。
・アミノ酸の摂取も体温を上昇させるので控える。
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