熱中症に効果的なスポーツドリンクは意外に少ない

スポーツドリンクは水分補給に適しているかと聞かれれば、その答えは、商品によりまちまちです。日常生活における水分補給ならば「お茶や水」で十分でしょう。

木製のテーブルの上に暖かい緑茶
写真=iStock.com/kuppa_rock
「お茶や水」で十分(※写真はイメージです)

熱中症や脱水症のとき効果的な水分補給のポイントは、ナトリウムイオン濃度が高いこと、糖分が少ないこと、浸透圧が低いことの3つになります。

じつは、この3つのポイントが加味されているスポーツドリンクは意外にも少ないのです。

糖濃度が高いと水分補給の速度が遅くなる

何よりも、スポーツドリンクはスポーツ後のエネルギー補給を第一としているので糖濃度が高くなります。具体的にはスポーツドリンクの糖濃度は6~8%程度ですが、経口補水液の糖濃度は2.5%と低いのです。

糖濃度が高いと、胃から小腸への移動速度が低下して、胃内に残ります。水分は小腸で吸収されるので、糖濃度が高くなればなるほど、水分補給の速度が遅くなるのです。

ただし、熱中症や脱水症の症状がなく、ゆっくり、じっくり水分を吸収しても待てるならば、スポーツドリンクで水分補給をしてもよいでしょう。

スポーツドリンクは基本的にスポーツ選手のために開発された飲料です。そのため、糖質の含有量も多めなものが発売されています。

日常生活の中でむやみに摂取することはせず、スポーツで失われたエネルギー、電解質および栄養素を補うための飲料として摂取するようにしましょう。

日常的に摂取すると、むし歯の原因になったり、血糖値が上昇して食欲の低下をまねき、食事摂取量が減ったりするおそれもあります。日常生活の中で摂取するようなことは控えましょう。

・スポーツドリンクは商品により使用用途が異なる。
・激しいスポーツ時の水分補給に適した製品は「低糖質」「高ナトリウムイオン含有」「低浸透圧」。