日本の会議は出席することに大きな意味がある

しかし、こういうと「そんな会議改革はできない。ウチの会社は保守的なので……」という人もいると思うので、そういう場合には、2つめの考え方で対応することを勧めます。

会議のなかには「何もしなくていいから、とにかく関係者が出席してほしい」という類いのものがかなりあります。とくに大人数で行う会議はそうでしょう。

こうした会議は「出席することが大きな貢献」と自分に強く言い聞かせることが大切です。「出席しているだけでは意味がない」というのではなく、「無事に出席できたことに満足する」という考え方です。

1つめの考え方に比べて、2つめの考え方はいささか後ろ向きの考え方のように思えますが、実際はそうでもありません。

逆に「毎回きちんと出席している」というのは当たり前とはいえ、社内で評価されることにもなります。したがって、それなりにモチベーションも高まります。

また「出席することが役割」と自分に言い聞かせることで「会議では発言しなければならない」などの心理的なプレッシャーから解放されることにもなります。

野球やサッカーなどの団体スポーツでも好成績を上げる以前の問題として重視されるのは「全試合出場」などのいつも存在するという実績です。

メジャーリーグに「偉大なる2割5分打者」という考え方があります。試合で大活躍しても頻繁に欠場する選手よりも、打率はソコソコでも長期にわたって全試合出場する選手がチームとしては評価できるという発想です。

会社の会議もこれに似たところがあるのです。「ものすごく立派なプレゼンを年に1回くらいするものの欠席は多い人」よりも、「特別なことは何もしないが毎回必ず出席する人」が社内評価は高いのです。

会議中のマルチタスクが認められる時代

3つめは実践するかどうかは自己責任でお願いしたい考え方です。それは会議中のマルチタスクです。

会社によってはグレーノウハウというかたちで会議中のマルチタスクを容認しているところがあります。

グレーノウハウとは「面と向かって聞かれれば、否定せざるを得ないことでも、暗黙のもとに認めている」というアンリトゥンルール(unwritten rule)のことです。

最近はパソコン持ち込みの会議などではマルチタスクをグレーとしてではなく、認めている会社も増えているようなので、グレーノウハウにかかわらず、思い切って上司や同僚にマルチタスクを提案してみてもよいと思います。

それでも認められない場合は、長時間会議の場合、必ず休憩を提案するようにしましょう。たとえば、10分の途中休憩があれば、簡単な電話やメールの連絡は取引先などに入れられます。

鈴木邦成『はかどる技術』(フォレスト出版)

あとあとのタイパを考えると、「会議途中の朝11時にメール返信した」というのと「会議が延びたのでメール返信は午後になってしまった」というのとでは、かなりの差になる可能性もあります。

ちなみにマルチタスクといっても、ガチで別の本格的なタスクをするのではなく、メールの返信やパソコンで書類作成などの短時間で行えるライトタスクです。

しかし、会議が長時間に及ぶようならば、こうしたちょっとしたマルチタスクを入れることで前後の滞りは格段に解消されるようになるのです。

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