「引っ越し」と「転職」に備えておく

ここでの戦略の前提は「経済的な事情でいったん子どもをあきらめた人が、それでも子どもが欲しいと考えた場合」ですから、港区に住むというのは解決にはなりません。ただ、何をあきらめて何を重視するかを考えるヒントはここにあります。

戦略としては、

①移住しやすい身軽な生活を選ぶ
②転職もしやすくしておく

というふたつの基本戦略が重要なことがわかります。

プレジデントオンラインでも以前記事になったように、保育所が見つけやすい地域は駅単位で見れば23区内にいくつもあります。現在の住所が保育所を見つけにくい地域にあるのであれば、子どもが生まれて保育所が必要になる際に移住しやすくしておくという戦略が重要なことがわかります。

目指したい未来の夢に対して厳しい条件になるかもしれませんが、子どもを持つために持ち家をあきらめる、手放すという決断は必要かもしれません。

同時に職場も移住のボトルネックになるケースが多いものです。子どもが生まれた後でも、仕事の性格上、子育てができないというケースも起きるかもしれません。

つまり東京で子どもを持つためには、身軽に引っ越しができるようにするとともに、子どもを持つ前に一度か二度、転職も経験しておいて、いつでも仕事を変えられるオプションを手にいれておくのが戦略的な生き方になるのです。

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「夫婦の子どもの数」はあまり変わっていない

【要因2】そもそも結婚を選べない

ここからはこども家庭庁など行政があまり力になってくれない課題に対する戦略を考えます。

少子化の問題に一段階踏み込むと、実は夫婦の出生率は国民が思っているほどは下がってはいません。夫婦の完結出生子ども数という数字があります。1977年の調査では2.19人だった子どもの数は2010年にはじめて2を割って1.96人となり、2021年の調査では1.90人と過去最低となりました。下がっているのですが、実は過去50年近く、夫婦の子どもの数は平均して2人前後という点では大きく変わってはいません。

ここからわかることは、結婚をしない人が増えていて、その増加が少子化の一番の原因だということです。

それで東京都などは行政として独自のマッチングアプリを開発して少子化に歯止めをかけようとしています。ただ若者の立場では余計なお世話かもしれません。現実にはマッチングアプリはかなり浸透して市民権も得ています。最近では5組に1組がマッチングアプリがきっかけで結婚するぐらい利用も進んでいます。問題は、相手がいても経済的な理由から結婚を選ばないカップルが増えていることです。