子ども2人を育てる出費は「5000万円の住宅購入」と同じ
【要因3】すべてのコストが高く、お金が足りない
そもそも経済的な理由から「子どもは贅沢品」と考える人にとっては、この問題が一番大きいでしょう。今は収入があっても、非正規労働で将来への不安がぬぐえないという理由もここに入ります。この問題は戦略で解消できるのでしょうか?
そもそも子ども1人を育てるために、どれだけのコストがかかるかご存知でしょうか。いくつか試算がありますが、代表的でかつ低めの数字を挙げると、大学卒業までに合計2500万円かかるというのが一般的な数字です。
社会的な道徳議論を脇に置いて冷静に考えると、子どもを持つということは若者にとってはフェラーリを1台購入することとコストは同じです。子ども2人なら5000万円の住宅を購入するのと同じ出費です。数字で見ると「子どもは家や車と同じ贅沢品」という意見は確かに共感できる数字です。
では戦略的な視点ではこの問題をどう解決すべきでしょうか?
⑤何かについて2500万円分の将来の出費をあきらめる家計計画をたてる
⑥頭金を用意する
という戦略が考えられます。順に見ていきます。
将来にわたって「月10万円弱」を捻出し続けられるか
子育ての総コストが2500万円だと言いました。大卒までの22年間で割れば、年間120万円弱。つまり月10万円弱が子どもを持つことに踏み切るために、経済的に覚悟すべき出費です。
繰り返しになりますが、この記事は「それでも子どもが欲しい若者」に対する戦略提言です。実は国の少子化対策が不十分な理由もここにあるのですが、月10万円を子育て世代に出せるだけの予算は国にはありません。しかし個人の視点なら、月10万円を捻出する方法を考えられないとは言えないでしょう。
冒頭のTBSのNEWS DIGに登場した若者のケースでは、カップルがともに非正規労働で、それぞれ30万円と20万円の手取りです。ご本人たちは子どもを持たないという前提での生活をされていますが、同じ境遇で「それでも子どもが欲しい」という方の場合、この条件ならば月10万円の捻出は、私は可能だと思います。
ただし現実的な問題はそこではないと私も思います。今、月10万円が捻出できるかどうかではなくて、将来の不安抜きにそれを22年間続けられるかどうかの方が、若者にとっては大きな問題だということです。