保育園に子供を入れやすい場所を探す方法はあるのか。スタイルアクト代表の沖有人さんは「保育園に入りたい人数と受け入れ可能人数のバランスは、最寄り駅単位まで落とし込まないとわからない。待機児童ゼロを宣言している自治体であっても、入りにくい駅はある」という――。
ブロックのおもちゃで遊ぶ園児たち
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「ノーカウント待機児童」が量産されている実態

東京23区の待機児童数は2018年に3352人だったが、2023年は12人と大幅に減少した(東京都福祉保健局調べ)。待機児童ゼロを宣言している自治体が23区中21となり、残すは世田谷区10人と墨田区2人だけとなった。確かに、2022年は婚姻数の減少等に伴い出生数が低下し、都区部全体の0歳人口は4.4%減少した。これに対して、認可保育園の0歳児定員数は前年比+0.3%とやや増えている。しかし、この数字には注意が必要で、保育園待ちで復職できない状況は大きく変化した訳ではないので、その実態と解決策を提示したい。

行政が発表する待機児童数には、数々のトリックがある。まず、認可保育園に申し込んだ児童が認可に入れなくても、認可外保育園に入れていれば待機児童にはカウントされない。また、自宅から遠い認可・認可外園を自治体から勧められ、それを断ると「特定の保育所等を希望している児童」に分類され、この場合も待機児童にカウントされない。それに加えて、求職中や産休中の需要を含める・含めないなど行政によって基準が異なる。こういったノーカウント待機児童が量産されているのが実態だからである。

親たちが知りたいのは「駅ごとの」入りやすさ

東京23区では、共働きが増えたこともあり、小学校入学前の児童の50%超が保育園に入園する。つまり、子どもが生まれたら、半数以上の世帯が保育園選びをすることになる。

もし子どもを保育園に入れられず、共働きを続けられないと、世帯の収入とライフスタイルを大きく変えなければならなくなる。そうした事態を避けるべく、保育園に入りやすい立地を求めて引っ越しを行う人も増え、「保育園移民」と呼ばれている。

「保育園移民」が知りたいのは、保育園に子どもを入れやすい駅はどこかという、体系的な情報である。

そこで、認可保育園への入りやすさを、「各駅の0歳児人口」を「各駅の認可保育所の0歳児定員」で割って算出したのが「東京23区 認可保育園入りにくい駅ランキング」である。この方が実態を正確に表すことができる。