「本屋の持つ力をみくびっているのではないか」

2021年の取材当時、東城町のウィー東城店では年商1億5000万円、そのうち書籍の占める割合は2割強。仮に3500万円だとして、それを3倍の人口で計算すると、1億500万円。月商は900万円弱となる。この数字と比較すると、月商500万円という売上予測は現実離れしていないことがわかる。

「本には人を癒す言霊があります。言霊を内包した本が集まっている本屋という場所の持つ力を、私たちの世の中はみくびっているのではないかと思います。10年後にこの本屋があるかどうかなんてことは、僕らにもわかりません。僕らにたくさんのことはできませんが、でも、ここでこうして地域の人たちに求められて一歩を始めることならできます。これから挑むことは今できることの最大限です」

総商さとうは1889(明治22)年に広島県の神石郡で行商を始めた初代に商売のルーツを持つ。中国山地の山深い地域で書籍や新聞を届けることを使命とした先代たちの働く姿を、4代目の佐藤さんも引き継いでいる。

そして5月10日に開店を迎えた「ほなび」は、3日間で1000人以上がレジを通過し、1週間で月間見込の半額に迫る売上となった。

筆者撮影
「棚入れ」の合間に朗読会
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