その目的が達せられるなら、何をどう学んでもいいのです。最終ゴールもなくていい。だって人生が続いている限り、成長したいではありませんか。どうすればより人生を充実させられるかは、人それぞれに違っています。その仕組み作りも含めて「勉強」なのではないでしょうか。
何に取り組むべきかあれこれ考えるより、まずはぶつかってみることです。モチベーションはゼロから湧き出るものでなく、取り組みながらじわじわ滲み出てきます。資格でも、語学でも、趣味の分野を掘り下げるでもいいのです。とりあえず書店に行ったりネットで検索したりして、興味の持てそうなテーマをいくつかピックアップしてみましょう。
その中から、わかりやすい目標が立てられるテーマを選び「3カ月後にここまで到達していたい」区切りを設けます。そしてタスクを小分けにして、始める。やって楽しかったら継続し、つまらなかったら切り替える。何度かやれば、必ず自分が夢中になれるテーマが見つかります。
突然やってきた手応え
コツコツ続けていれば、いつか自分でもびっくりする成果が出るかもしれません。じつは最近、私自身がそんな体験をしました。
私は何年もポッドキャストと洋書で英語を勉強しているのですが、ここ数カ月で急激に、英語が操れるようになった手応えがあるのです。その手応えはある瞬間に、突然やってきた感じです。
私は約14年前にカリフォルニア大学バークレー校に留学し、MBAを取得しました。当然、当時は英語漬けでしたし、今より比べものにならない量の英語に触れていました。それでも当時より今のほうが、英語が上達していると思います。
恐らく勉強にも「複利の力」が利くのでしょう。知識は少しずつ蓄積されてあるレベルまで到達すると、相乗効果もあって急にいろいろなことがわかるようになるのです。そんな瞬間が自分に起こるワクワクを、あなたにも是非体験してほしい。
また「人は努力すればできなかったことができるようになる」のを身をもって知ったリーダーは、他人に対して寛容になれます。例えば仕事で成果が出せない部下を切り捨てるのではなく「できるように教えよう」「できるようになるのを待とう」と受け入れることができるのです。
部下や後輩の学びにも伴走し共に成長を喜び合えるリーダーは、誰からも信頼されチームの結束を高め、すばらしい結果を導き出せることでしょう。ビジネスパーソンが取り組む学びの効用は、自分の知識が増えるだけではないのです。
※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年6月14日号)の一部を再編集したものです。