学習を効率よく進めるにはどうすればいいのか。アメリカの医師国家試験にトップ1%の成績で合格した米国内科専門医の安川康介さんは、「学習に関する数多くの研究から、思い出す作業、アウトプットすることこそが、記憶を長期に定着させる効果的な勉強法だということがわかっている」という――。

※本稿は、安川康介『科学的根拠に基づく最高の勉強法』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

人工知能のイメージ
写真=iStock.com/metamorworks
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多数の研究でわかった決定的に重要なプロセス

学ぶために決定的に重要なのが「アクティブリコール(Active recall)」です。

なんだか難しい言葉ですが、簡単に言えばアクティブリコールとは「勉強したことや覚えたいことを、能動的に思い出すこと、記憶から引き出すこと」です。

「え? 記憶したいことを頑張って記憶から引き出す? それだけ?」、そう思われる方も多いかもしれません。

実は、これまでの学習に関する数多くの研究から、何かを記憶するためには、それを積極的に思い出す作業や、脳みそから頑張って取り出す作業こそが、決定的に重要だということが明らかになっています。

学術的にはアクティブリコール以外にも、想起練習・検索練習(Retrieval practice)、練習テスト(Practice test)と呼ばれることがありますが、同様の概念です。

ちなみに、情報を積極的に思い出すことによって、その情報が長期記憶に定着しやすくなる現象のことをテスト効果(Testing effect)といいます。「想起練習」、「練習テスト」、その効果である「テスト効果」というと、一般的に想像するような試験やクイズなどを受けないといけないのかと思われるかもしれません。しかし、試験やクイズに限らず、とにかく記憶から引き出す作業であれば効果が期待できるので、本書ではアクティブリコールという言葉を中心に使いたいと思います。