世界のエリートはどんな勉強法をしているのか。韓国を代表するライティング・コーチのソン・スッキさんは「ハーバード大の学生は卒業までにA4用紙50キロ分のライティングをしている。書いて学ぶことの効果は実験でも明らかだ」という――。

※本稿は、ソン・スッキ著、岡崎暢子訳『作文宿題が30分で書ける! 秘密のハーバード作文』(CCCメディアハウス)の一部を再編集したものです。

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写真=iStock.com/SolStock
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ハーバードの学生1人が書くエッセイはA4サイズ50キロ分

ハーバード大学の学生1人が卒業するまでに書いたエッセイ用紙を集めて重さを量ると、A4サイズの用紙の総重量が50キログラムにもなるそうです。大学生の彼らもたくさんのライティングの宿題をこなしているのですね。

学生たちは、その宿題のおかげで授業にも積極的に取り組めて、内容がしっかり理解でき、アイデアも浮かぶようになったと実感しています。また、ライティングの宿題を通して、新たな興味や面白さを見つけたという学生たちもいます。

ハーバード大学で心理学を学んでいる学生800人を対象に、次のような実験が行われました。

まず、Aグループの学生には、あるテーマに関する主な内容を教えた後で、そのテーマについて自由にエッセイを書いてもらいました。彼らは理解した内容に、たとえなどを交えながらオリジナルの文章を書きあげました。

一方、Bグループの学生には、同じテーマの主な内容をまとめたスライドを見せた後、その内容や事例をそのまま書き写してもらいました。

さて、実験が始まるのはここからです。

AB両グループの全員に対し、先ほどのテーマについてどの程度理解できているのか、テストを受けてもらいました。すると、単に写し書きしただけのBグループの学生よりも、自分で文章にまとめたAグループのほうがずっと内容を理解していることがわかりました。その実験から2カ月後にもう一度同じような実験を行ってみても、やはりAグループの学生たちの学習効果のほうがずっと高かったのです。

アメリカの科学学術雑誌『サイエンス』の実験

また、こんな実験もあります。アメリカの科学学術雑誌『サイエンス』が、大学生を対象に、科学について書かれた短いテキストを5分間読んでもらう実験を行いました。

学生たちは3つのグループに分かれ、Aグループは試験勉強さながらにテキストをくり返し読み、Bグループは内容を図にまとめ、Cグループは読んだテキストについての短い感想文を書きました。1週間後、この学生たちに、最初に読んだ短いテキストについてテストを行いました。成績優秀だったのはどのグループだったと思いますか?

結果は、Cグループが一番優秀で、続いてAグループ、Bグループの順だったのです。研究グループは、この結果から、「読んだ内容を自分の言葉で新たに書き直すと、長く記憶に残りやすい」という答えを導き出しました。

この2つの大学の実験は、いずれも、学んだことを、自分の言葉にして誰かに説明することがもたらす学習の効果の高さを証明しています。