ウェットな人間関係は、それだけストレスも多くなる

いま、あなたのまわりにいる人、関わりのある人を、試しに思い浮かべてみてください。

好きだと思う人もいれば、苦手な人もいるでしょう。でも、かなりの割合を占めるのは「好きでも嫌いでもない人」ではないでしょうか。

そのような人とのつき合いでは、とくに悩むことはないはずです。何か用事があって関わるにしても、用事は淡々とスムーズに済みますし、相手の存在に感情が乱されることもありません。

つまり、相手に対して、心理的に「いい加減」な距離が保たれているのです。

和田秀樹『65歳からのひとりを楽しむ「いい加減」おつき合い』(PHP研究所)

しかし、家族など身近な関係では、なかなかそうはいきません。相手と物理的にも心理的にも距離が近いだけに、「どうしてわかってくれないの」「あなたのためを思って言っているのに」などと不満を抱き、そうした感情的な言葉を相手にぶつけてしまうことにもなりがちです。

ウェットな人間関係は、それだけストレスも多くなります。好きでも嫌いでもない相手に対しては、干渉することもなく、過度な期待もしません。それくらい割り切った、ドライと言えるくらいの関係は、とてもラクです。

相手が自分の望むような振る舞いをしてくれなくても、腹を立てたり、失望したりすることもありません。相手に対して感情的にならずに済むので、ぶつかることもなく、結果的に良好な関係が長く続きます。

「好きでも嫌いでもない」くらいがちょうどいい

近所づき合いでも、趣味の集まりでも、茶飲み仲間との交流でも、好きな相手にグイグイ近づいたり、反対に嫌いな相手を避けようとしたりする必要はありません。

どの人にも「好きでも嫌いでもない人」に対するように、その場での関わりがうまくいけばいいという割り切りを持つことで、たいていの人と「ちょうどいい距離」を保つことができます。

そういう関係を冷たいとか、味気ないなどと、ネガティブにとらえないようにしたいところです。ウェットな関係で互いに息苦しくなり、関係自体が破綻してしまうリスクを思えば、少しドライなくらいの関係が、結局はベストバランスと言えるのです。

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