「将来の建替え」も視野に入れて物件を見る

資金繰りが厳しくなるばかりのマンション管理は、「名称の大規模修繕」が今後の課題になる。

山下努『2030年不動産の未来と最高の選び方・買い方を全部1冊にまとめてみた』(東洋経済新報社)

このように、タワマン以外なら、湾岸でも「驚きの格安物件」が意外にも残っている。

不動産価格は急には修正されないからだ。

20階建てくらいでも、「タワー」を冠したほうが売れ行きにプラスになるかもしれない(これはうわべのタワーブームに乗る前のジョークだが)。

たとえば、豊洲4丁目9の大規模物件は、主力の棟が14階からの中低層の集合体で中庭がかなり広く、一戸当たりの土地面積も広い。豊洲駅から徒歩5分ほどだ。

25階以上でないため、一部の住戸は億ション扱いになったものの、富裕層や外国人の投資対象にはなっていない。だが、将来は青空駐車場や中庭の広い敷地にツインタワーが十分に建ちそうだ。

建替え検討時には、一戸当たりの家族数は新築時の半分以下になっているだろう。

よって住民分の建替え住戸の面積はコンパクトでよく、建替え面積の半分以上を外販してそれを建替え資金とすれば、建替え費ゼロも不可能ではない。

おまけにインフレとコロナ禍の前に決めた全戸のペアガラス(断熱)の導入決議も、大規模修繕のあとに導入反対運動が起きて、ペアガラス導入の撤退決議が通った。結果的に、修繕積立金を数億円も節約している。

「脱炭素で環境に優しい」と聞けば、無条件にEV施設の導入も許容される時代だが、マンション管理の財政は悪化するうえ、「環境に優しい」効果も疑わしい。

もうかるのは、納品や工事を請け負う業者筋だ。

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