「行為=楽しい」となることが定着には必要

外発的動機で目的地を明確にすることで脳の「GPS機能」(ラス)をうまく働かせられるようになります。習慣化に向けた行動に取り組み行動を脳に意識させ、反復しやすい体制を整えます。

次に日々、行動を繰り返す中で挫折しないように「私ならばできる」という自己効力感を高めます。自己効力感を高めることでラスはさらにその行動の情報を優先して処理するようになり、「GPS機能」は強化されます。

そして第3段階で習慣化に向けて行動指針となってきたラスを定着させ、習慣化のプロセスを万全にします。内発的動機は脳の「GPS機能」を定着させます。それには感情が大きな役割を担っています。

内発的動機は内面から湧き上がるモチベーションですから、個人の情熱や好奇心に深く根ざしています。楽しさや嬉しさや喜びなどですね。この情熱や興味が脳によって認識され、ラスを通じて注意を引くと、感情の中枢が活性化されます。

写真=iStock.com/Tempura
※写真はイメージです

その行為をすると楽しい、嬉しいなどのように感情と結びつくわけです。そして、感情の結びつきが強いほど、脳はその情報を重要視し、ラスはその情報を長期記憶として定着させる傾向があります。

新しい挑戦は外発的動機で取り組むケースが大半です。「あんなふうになりたい」「お金がほしい」「とにかく痩せたい」という目標をイメージして始めます。

「ダイエットが楽しい」となれば甘いものは食べなくなる

ただ、内発的動機がなければ続きません。なぜならば、行為自体が楽しくなかったり、嬉しくなかったりしたら、嫌になって飽きてしまうからです。

あなたの周りを見渡しても、長く続くことは感情に結びついているケースがほとんどではないでしょうか。「ダイエットしてモテたい」と目標を立てても誘惑に負けて甘いものを食べてしまうのは、甘いものを食べたいという感情に基づくものだからです。

甘いものに目がない人は外発的動機が小さく、おいしいものを食べると嬉しいという内発的動機に動かされているともいえます。

逆に、ダイエットするのが楽しいとなれば甘いものは食べなくなります。実際、内発的動機による行動が個人にとって意味のあるものになると、脳内でドーパミンと呼ばれる快楽物質が分泌されます。

これが脳の中の報酬系を活性化し、内発的動機が生む満足感や喜びが脳に強く印象づけられます。ラスは報酬に対して貪欲です。報酬が得られる行為に注意を向けてその情報を優先します。もっと報酬をよこせ、もっと報酬をよこせとなるのです。

報酬が「内発的動機」に由来する場合、同様の報酬を得られる行動を後押しします。このプロセスによって内発的動機を継続的に育むことが可能になります。