ロンドンのDAZN本社を視察
実は小西は、2015年の12月、ロンドンのDAZN本社を視察している。
「仕事ではなく、あくまで個人的な趣味で(笑)」とは本人の弁だが、OTTがビジネスとして成立するかどうか、見極める意図はあったようだ。
この時点では、DAZNがJリーグの次期放映権入札に加わる展開を「予想していなかった」と小西。
それでも、スカパー!との単独交渉の線がなくなったことで、年明けからJリーグ内に、少数精鋭の特命チームが立ち上がる。
すなわち、小西と中西のツートップ、Jリーグメディアプロモーションから勝澤健と岩貞和明、そしてJリーグから樋口順也。のちにDAZNとの交渉に向き合うこととなる、チーム5の面々である。
交渉期間は3カ月に及んだ
メンバー構成と役割について、小西に解説してもらおう。
「勝澤はJクラブ(東京ヴェルディ)で働いていた経験があって、広報などのマネジメントもできる。岩貞はOTTなどのIT系ビジネスに強くて英語もできる。樋口はJリーグでも珍しい理数系で、資料作りや交渉の記録をまとめるのにうってつけの人材でした。対DAZNのフェイズでは、僕が向こうの要求を聞いてきて、それを中西が潰していくという役割分担。今にして思えば、いいチームでしたよ(笑)」
このチーム5の証言と樋口の記録から、入札に至るプロセスを整理してみよう。
・3月18日、入札候補の企業にチーム5からオリエンテーションのメールを送信。
・4月4日、各社に入札の意思を確認。
・4月6~7日、各社によるプレゼンテーション。
このあと、再度のオリエンテーションをメールベースで行い、各社の回答を得た4月13日以降から、今度は個別の交渉がスタートする。最終決定が7月19日なので、交渉期間は3カ月に及んだことになる。