人間は記憶マシーンではない

人間は記憶マシーンではありません。記憶というのは非常に脆弱なものです。

経験をしたときには「このことは絶対に忘れない」と思っていたことでも、少し時間がたつとすっかり忘れてしまうことが頻繁にあります。

大切にしているネコのことさえ覚えていられないのですから、ましてや意識していなかったことであれば、覚えているほうがまれなのです。

人は、こうして忘れてしまうものである以上、せめて「人は忘れるものだ」ということだけでも記憶にとどめておかなければいけません。これは、仕事でも、それ以外の事柄でも同様です。

「忘れた」を叱ってはならない

例えば、部下が大切な書類の提出期限を忘れてしまったとき、

「今日までに提出しろと、先月、言っただろう! なんで忘れるんだ!」

などと、厳しく注意をするのは、あまりおすすめできません。

※写真はイメージです
「忘れた」を叱ってはならない

そもそも「今日までに提出しろと、先月、言った」という記憶が正しいか、という問題もあります。他の人が忘れず提出していたとしても、その部下だけ離席していて聞いていなかった、ということだってあり得ます。

さらには、そんな大切な書類なのに、先月言ったっきり、締め切りまで放置、という仕事の仕方にも問題があります。1週間前や数日前にリマインドすることだってできたはず。

仕事のできる人というのは、「相手も自分も忘れる可能性がある」ということをわかっています。そしてそれを回避する方法をあらかじめ見つけています。

皆さんは「自分も相手も忘れる前提」で仕事をしているでしょうか。