スリムよりも健康的なぽっちゃり体型がいい
身長だけでなく、体重も新たな局面を迎えている。
高級ブランドなどが「ぽっちゃり体型」の女性をファッションショーに採用するなど、近年は「リアルサイズ」や「プラスサイズ」と呼ばれるモデルが活躍。モデル=スリムという概念は崩れつつある。
モデルの「痩せすぎ問題」は以前から指摘されてきたが、「健康ボディ」はどれぐらいの体重なのか。肥満の程度を表す指標としては「BMI」がある。体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で計算できる値だ。日本肥満学会では
「普通体重」18.5以上25未満
「軽度肥満」25以上30未満
「肥満」30以上35未満
としている。
身長160cmなら48~63kg台が、身長170cmなら54~72kg台が「普通体重」になる。しかし、とりわけ日本人の女性は“痩せ願望”が強く、医学的には「普通体型」と分類されても、常に「ダイエットしなきゃいけない」と考えている人が多いようだ。
実際、厚生労働省による国民健康・栄養調査報告(令和元年)によれば、BMIが18.5未満の痩せ体型の女性は20代で20.7%、30代で16.4%、40代で12.9%もいた。
一方で1991年のデータになるが、30~59歳の男女5000人を対象にした調査によると、健康診断で「異常なし」とされた人はBMIが22前後の人が最も多かったという。身長160cmなら56~57kg、身長170cmなら63~64kgだ。
体重だけでいうと、そこまでスリムという感じではないだろう。
また前出の国立がん研究センターが日本人を対象に実施した調査では、40~69歳の男女9万人のなかで、10年間でがんになったのは約5000人。男性の場合はBMI21~29(身長170cmなら体重は約61~84kg)の発症率はほぼ同一で、BMI19未満(身長170cmなら体重55kg未満)と30以上(身長170cmなら体重87kg以上)の方は発症率が上昇することがわかっている(※女性はがんの発症率と肥満度に関連はなかった)。
一般的なイメージと比べて、「ぽっちゃり体型」のほうが健康的といえそうだ。