コミュニティノートに反対するジャーナリスト
集合知によって誤った情報の拡散に一定の歯止めがかかるこの制度は、正確な情報を求める人や社会にとっては歓迎すべき状況だが、少なくないジャーナリストや一部の政治家などからは不快感の表明が相次いだ。
具体例の一部を提示しよう。2023年7月17日、沖縄タイムスの阿部岳記者による、以下の投稿があった。
《水俣では、中毒患者を出しながら有毒な工場排水が海に放出され続けた。福島では、約束した「関係者の理解」も得ないまま原発事故の汚染水が海に放出されようとしている。沖縄では、民意を踏み躙って海を埋め、辺野古新基地建設が続いている。全てつながっているし、全ておわっていない》
これに対し、次のコミュニティノートがついた。
《原発廃炉処理水に水俣病や沖縄の基地建設がつながっているという個人の感想には、科学的な根拠が提示されておりません。処理水の安全性は国内外の専門家から様々な科学的立証をされており、民意としても海洋放出に賛成の世論調査の結果も出ています。》
《また敷地面積を占める処理水の保管タンクは、復興への廃炉作業の妨げになっています。》
《むしろ問題は、こちらの投稿のように汚染水と呼ぶ声からは科学的論証がされないことで、社会的な合意形成を得られる説得力がないどころか、問題解決を妨害する意図も含まれ、風評被害に当たるので注意が必要です》
「あなたの感想ですよね」
すると阿部記者は、
《私のツイートに付いた「コミュニティー(ママ)ノート」。なんか客観を装っているけど、「あなたの感想ですよね」「問題解決の妨害ですよね」「風評被害ですよね」というただの匿名ネトウヨコメントが公的な装いで表示されていて、まさに今のツイッターを煮詰めた感じの素敵な新機能です》