国や社会の意思決定層へアプローチを

【海老原】この50年、日本の社会はあまり変わってきませんでした。

海老原嗣生『少子化 女“性”たちの言葉なき主張』(プレジデント社)

最近は企業も女性が就労継続しやすい制度をつくるなどして変わり始めてはいますが、働く女性にとって仕事と出産・育児の両立負担はまだまだ大きい。少子化もその結果ではないでしょうか。

【上野】少子化は今でこそ「国難」といわれていますが、国は40年も前からこの状況を十分に予測できていたはずです。人口予測ほど予測可能な統計はありませんから。なのに、政治はまったく無為無策でここまできた。そのツケを全部払わされているのが女性です。その結果が少子化でしょう。

【海老原】働く女性に関する問題を解決すべく、国には早急に新たな子育て策などを主導してもらいたいものですね。

【上野】そうですね。そのためにも、海老原さんには国や社会の意思決定層である男性たちに向けて提言をお願いしたいと思います。私たちが男性に言ってもなかなか届かないので。

【海老原】よくわかりました。僕も引き続き取り組んでいきます。

(構成=辻村洋子)
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