考える社員を育てる質問の投げかけ

上司「最近、○○町の取引先から、『商品の到着が遅延することが多くて困る』というクレームが増えている。原因は何だろう? どうやったらわかると思う?」
若手「指定している配送ルートが良くないのかもしれません」
上司「ほかに可能性はないかな?」
若手「配送業者のせいかもしれません」
上司「配送ルートのせいか、配送業者のせいか、どうやったらわかるだろう?」
若手「配送ルートのせいなら、配送業者に関係なく遅延しているでしょうし、配送業者のせいなら、特定の配送業者のときに遅延が発生していると思います。○○町を担当する□□営業所に問い合わせて、配送記録を分析してみればわかるのではないでしょうか。早速□□営業所に配送記録を問い合わせてみます」

最終的に若手が行う作業は、まったく同じかもしれません。しかし、最初の例だと、上司に言われた通りのことをやるだけですが、2番目の「質問の投げかけ」だと、若手は自分で考えた結果、自分がやるべき行動にたどり着いています。

このように、上司が若手自身に考えることを促す「質問」を重ねると、若手は自分で仮説をたてて「何をすればいいか」を考えるようになるはずです。

若手が挑戦できる社風や環境づくりを

「上司に言われたことしかしない」という社員も、もともとは優秀な新人だったはずです。誰もが、能動的に動くことができる優秀な社員にも、ぱっとしない“指示待ち”社員にもなる可能性があるのです。

これはもちろん、上司の育て方や本人の性格でも左右されますが、会社の環境や社風も影響するように思います。

加点方式で評価する会社では、本人の積極的な姿勢がプラスに働きますが、減点方式の会社だと、失敗するたびに減点されていくので、新しいことに取り組むことに恐怖心が生まれやすくなります。

人手不足はどんどん深刻化していますし、新しいことを試していかないと生き残れない時代です。社員のモチベーションを下げてしまう減点方式ではなく、新しい挑戦を促す加点方式に変えていかないと、優秀な人材を確保し、育てていくことは難しくなるのではないでしょうか。

(構成=池田純子)
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