生命を維持するのに不可欠な役割を持つ

そもそも、すい臓はどのような臓器なのでしょうか。

肝臓や肺などの臓器に比べると、一般の方々にはなじみが薄いかもしれません。なじみがないために、すい臓に異常が起きても発見が遅れる場合があります。

ですから、すい臓がどのような臓器なのか、よく知っておきましょう。

すい臓は、私たちの生命活動の維持に、非常に重要な働きを担っている臓器です。みぞおちとへその間、胃の裏側に横たわるようにあり、全体の重さは70〜100グラムほど。比較的柔らかい臓器です。

本人から見て右側は十二指腸につながっており、左側は臓に接しています。「すい頭部」と呼ばれる十二指腸側は厚みが2.5〜3センチほどですが、「すい尾部」と呼ばれる脾臓側は厚みが1〜1.5センチほどと細くなっています。すい頭部とすい尾部の間の中央部分は「すい体部」と呼ばれています。

すい臓は、すい頭部、すい体部、すい尾部の3つに分かれる。すい臓がんのうち、全体の8割近くがすい頭部にできる(出所=『命を守る「すい臓がん」の新常識』P28)

人間の消化活動を支えている「すい液」

すい臓には、2つの重要な機能があります。それは、外分泌機能と内分泌機能です。

外分泌機能とは、すい液という消化液を作って腸内に送り出す働きを指します。すい液には、糖を分解するアミラーゼ、たんぱく質を分解するトリプシン、脂肪を分解するリパーゼなどの消化酵素が含まれており、1日に約1リットルが分泌されます。

糖もたんぱく質も脂肪も分解するのですから、いかにすい液が私たちの消化活動において重要かということが分かります。

そして、すい臓で作られたすい液は、いずれもすい臓内を葉脈のように走っている「すい管」を通して、十二指腸に流れていきます。

内分泌機能とは、ホルモンを作って血液中に送り込む働きを指します。すい臓で作られる代表的なホルモンには、血糖値を下げるインスリン、血糖値を上げるグルカゴン、そしてインスリンやグルカゴンなどのホルモンの分泌を抑制するソマトスタチンなどがあります。