地域の診療所と中核病院が連携し、検査
「尾道方式」のポイントは2つあります。
1つは、リスクが高い人に注目して、地域の診療所でも扱える血液検査や腹部エコーという方法を用いて、すい臓がんの可能性がありそうな方をうまく探しだすこと。もう1つは、地域の診療所と中核病院が連携して、効率的に検査を進めることです。
少なくとも現時点では、患者さんの体に負担が少なく、しかも効率的にすい臓がんを見つけられる最善の方法といってよいと思います。
考えてみれば当たり前のようにも聞こえますが、すい臓がんにおいて危険因子に注目して疑いのある人を絞り込んでいくという方法を実践した例は、日本のどこにもなかったのです。
2007年1月から2020年6月までの13年半の間に、すい臓がんが疑われる1万8507例を洗い出し、画像検査から精密検査を経て、610例のすい臓がんを発見できました。発見に結びついた確率は3.3%です。
通常の職場検診でのすい臓がん発見率は0.06%程度といわれているため、「尾道方式」はすい臓がんの発見率を大きく向上させる可能性があります。