総合型選抜入試は難関大学へのファストパス

「子どもを少しでもいい大学に」と願う保護者にとっては、これまで繰り返し述べてきた総合型選抜入試の拡充は朗報になる。

総合型選抜入試は「下剋上を起こしやすい」入試制度だと説明してきたが、受験指導をしてきた経験則から言えば、

「一般入試で日東駒専や産近甲龍クラスが相当な高校生はMARCHや関関同立が、そしてMARCHや関関同立クラスが妥当な高校生は早慶が狙える入試」

ということになる。

地元の進学校の優秀な生徒が報われる

また、「国公立は少し届かないから地元の私立大学に」と考えている高校生にとっても、本当は行きたい国公立大学で総合型選抜入試を実施していれば、その大学が十分射程に入る入試制度だと断言していい。

それだけではない。それぞれの地域で進学校とされる高校の生徒で、しかも、高校で実施される定期試験などで、学年で上位三割あたりまでにいる生徒や、部活動や生徒会活動など様々な活動で実績がある生徒、あるいは、都道府県大会レベルで文化・芸術などの面で顕著な成績を残した生徒にとっては、志望する難関大学に、一般入試に先がけて合格できるファストパス(入場優先権)にもなる制度である。

「うちの子は、地域の進学校に通っているがトップクラスではない」

こういうケースでもチャンスはある。

トップクラスの生徒はライバルにならない

清水克彦『2025年大学入試大改革 求められる「学力」をどう身につけるか』(平凡社新書)

皆さんの子どもが通う高校のここ数年の傾向を軽く分析してみていただきたい。公立、私立を問わず、トップ層の生徒は、教員の進学指導によって、一般入試で東京大学や京都大学など難関大学に挑戦するか、あえてリスクを取らず、指定校推薦で、早慶上智などへの難関大学への進学を早々と決めてしまうパターンが多い。

つまり、読み書き計算能力が際立って高い生徒や評定平均値で上位を行く生徒は、総合型選抜入試での合格を目指さない、ということになる。

総合型選抜入試が、各高校のトップ層以外による試験だと思えば、さらに希望が持てるはずだ。このファストパスは、想定以上の大学への合格を可能にするチケットと言えるかもしれない。

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