サイゼリヤが年2億人が来る店になった理由

私はサイゼリヤの創業者で、今は会長を務めています。サイゼリヤは、実は、お金を儲ける気がまったくありません。変わった会社だと思いますか?

1つ言えることは、もしサイゼリヤがお金を儲けるためにレストランをしていたら、世界1500店舗超、年間客数2億人超の、世界最大のイタリアンチェーンにはなっていなかったということ。

誰でもお腹いっぱいに食べられて満足できる「安くておいしい料理」を提供したい。皆さんを幸せにできる、役に立てる企業になりたい。その一心で、私は今までやってきました。

写真提供=サイゼリヤ
サイゼリヤの店内

原材料高騰でも絶対に値上げしない

原材料費高騰や物価高の中で、ほとんどのレストランチェーンが、値上げに踏み切っています。それでも、サイゼリヤは値上げをしない。むしろ値下げする。同時に、もっとおいしくするために、何度も何度も味の改善を重ねています。

「会長、そろそろ値上げしたほうがいいんじゃないですか」

外部の方からそう言われることもありますが、私は「値上げをしません」と言い切ります。

なぜかというと、値上げはこちらの都合でしかなく、お客様のためにはならないからです。値上げをしてお客様に負担を求める前に、私たちが改善できることは無限にあるのです。

もしサイゼリヤが値上げをするとしたら、それはお客様が困らなくなったとき。お客様に経済的な余裕ができるまで、私は値上げに踏み切ることができないのです。

サイゼリヤは、「利益のことは考えない」「お客様最優先」という、ある意味では不器用な経営をしています。私たちのやり方は、ビジネスの教科書に書いてあるセオリーや常識から外れているかもしれません。

それでも、サイゼリヤが成長・発展してこられたのはなぜでしょうか?

皆さんとの「つながり」の中で、人が喜ぶ方向に、この世界が少しでも良くなるようにと、ビジネスを展開してきたからです。

お客様からは最低限のお金をいただいて、お値打ちの料理を提供する。お客様から何ひとつ奪うことなく、むしろ与えることだけを考えている。その結果として、この世界と調和できているからだと、私は思うのです。

後で説明しますが、この世界にあまねく広がっている「エネルギー」は、みんなが幸せになる方向に流れています。その流れに沿っているものは、不思議なことに、抵抗なくするすると進み、すべてがうまくいくのです。