目指すは「小さな資本家」

お金を得るためには自分の「労働力」か「資本」を提供する必要があるため、資本主義下では「労働力を提供する人=労働者」と「資本を提供する人=資本家」の2種類に分けることができます。

そして、自分の時間の自由を奪われないためには、労働者ではなく資本家になる必要があるということですね。

ただし、自分がまったく働かなくても済むような大きな資本を持つには、お金持ちの家に生まれるかビジネスで成功しない限り難しいです。そのため、それを目指すのは現実的ではありません。

そこで私がおすすめしたいのが、「小さな自由を手に入れられるくらいの、小さな資本家」です。

これが実現できれば、時間の自由を奪われることなく、小さな自由を手に入れることができるようになるからです。

また、私が大きな資本家よりも小さな資本家のほうをおすすめする理由として、社会的な立場の自由という点もあります。

私は大学生の頃、海外留学をする費用を稼ぐべくホステスのバイトをしていたことがあります。そのときに代々の資本家の方や経営者とかかわることもありましたが、たとえば代々の資本家であれば、「自分の代で資産を減らすわけにはいかない」というプレッシャーだったり、経営者であれば人格者であることを求められたり、従業員も抱えているため責任も重そうだなぁと感じました。

私の人生のモットーは、「楽に楽しく生きる」です。

そのため、できる限り過度なプレッシャーや社会的地位は持ちたくないと思っています。ですから、億万長者になりたいとか、社会的に成功したいという方には、本稿の内容は参考にならないかもしれません。

一方、私のように「今よりちょっと自由に生きたいなぁ」と思っている方には、そのヒントになるのではないかと思います。

写真=iStock.com/maruco
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労働者よりも資本家のほうが有利な現実

私が小さくても資本家にもなることをおすすめするもうひとつの大きな理由は、長期で見ると労働よりも資本の収益のほうが高いというデータ上の現実があるからです。

みなさんは、「r>g」をご存じでしょうか。

r>gとは?

フランスの経済学者トマ・ピケティ著の『21世紀の資本』で唱えられた不等式。rは資本収益率、gは経済成長率を表している。

同書によると、18世紀までさかのぼってデータを分析した結果、「r=資本収益率」が年に5%ほどであるにもかかわらず、「g=経済成長率」は1~2%ほどしかなかったと指摘している。そのため、「r>g」という不等式が成り立つ。

このように、労働力の提供によってもたらされる経済の成長よりも、資本の提供によってもたらされる収益のほうが大きいのです。

もっとわかりやすく表すと、汗水垂らして一所懸命働く労働者より、持っているお金を働かせている資本家のほうが儲かるってことなんですよね。

もちろんこれは過去のデータを見るとそうなっているというだけで、今後もそうなるかはわかりません。

しかし、3世紀にもわたってそのように推移してきていることを考えると、今後も労働者より資本家のほうが有利になる確率は高いと言えるのではないでしょうか。

というかむしろ、現在もし労働収入しか得ていない状況なのであれば、それこそがリスクだと思いませんか? そのため、私は小さくても資本家にもなることを強くおすすめしたいのです。