芸人の「ワイプ芸」の反射神経はすごい
A 特にテレビでは自分が思った以上に、無表情に映ります。この点は、たまに特番などでご一緒しますが、芸人さんはうまいですね。VTRを流している最中に、画面の一部が小窓のようになって出演者を映すことがありますが、表情が豊かで反射神経が素晴らしい。あれは本当に「芸」だと思います。いまだに自分にはできません。
Q 声のトーンについてはいかがですか。
A 最近の若い人には多いですが、私も少し語尾のイントネーションを上げる癖がありました。これは番組のチーフプロデューサーから「発言が軽く感じられるので直した方がいい」と指摘を受けました。しかし一度付いた癖をなくすのは難しいですね。それに私の場合、語尾のトーンを落とすと、今度は聞き取りにくくなってしまい、画面を通して弱々しく映ってしまうのです。
Q 語尾が「ごにょごにょ」とフェードアウトしていくタイプの人は自信がなさそうに映ります。
「と思います」の濫用はやめたほうがいい
A 弱々しく映るという点では、語尾に「と思います」とか「と言われています」などを連発する人がいます。自分の発言が間違っていた場合のリスクを回避しているように見えるので、あえて使う必要のないところにまで、この表現を使うのは避けた方がいいです。
よく仕事の現場で「善処します」「対処します」を連発する人がいますが、聞いている側は「お前、何もやる気はないだろう」と受け止めますよね。それと同じで、「と思います」「という可能性もあります」などをあまり連発すると、発言から責任を感じ取れません。
Q 「あのー」とか「えーと」など、話の継ぎ目に口癖のある人もいます。
A 本人は無意識に使っていて、気づいていないことが多いです。聞いている側は気になって話に集中できないので、できるだけ減らすよう努めてください。
それに、「と思います」といった婉曲表現を使う人も、「あのー」「えーと」と連発する人も、その瞬間、体が揺れていたり、目が泳いでいたりすることが多い。メラビアンの法則に従えば、視覚情報、聴覚情報、言語情報すべてを使って、まさに「自信のなさを表現」しているわけです。