1週間くらい前までには、それらにパラパラと目を通しながら、自分に合う本や資料を見つけ出して、問題の勘所をつかみます。与えられたテキストで勉強しなければならなかった学生時代とは違うのだから、1冊に決め打ちせず、数冊を大人買いして自分に合う本を探したほうが効率的です。
このとき重要なのは、本や資料で数値データを拾いつつ、自分なりに論点や訴求点を切り出していくことです。そのうえで第三者に当たり、不明なところをつぶします。
先般、税制と社会保障というテーマでテレビの報道番組に出演する機会がありました。出演を打診された5日前の時点では、この分野についての知識はほぼ素人といっていいくらいでした。
5日しかない中で、まず何をしたか。ざっと資料集めをする一方で、財務省や金融庁、厚生労働省の知り合いに連絡して、専門家から話が聞けないか相談しました。すると幸運なことに、直接レクチャーを受けることができました。また、知人の外資系投資銀行のチーフエコノミストを昼食に誘って話を聞いたりもしました。このように、社会保障や税制改正に携わる人たちの説明を受けて論点ペーパーをまとめたので、番組出演の前日には、それなりの議論ができるようになっていました。
日々の仕事の中でも、この手法が使えます。たとえば上司から、未知の業界についての資料づくりを依頼されたとします。まずはざっと資料を集め、仮説でかまわないので論点を切り出し、その分野に明るい人に直接当たる。そうすれば、短期間でも十分な準備ができるでしょう。