準備の初期段階にやるべきことと直前でもできることは異なる。万全の体制で当日を迎えるためのコツを、厳しいスケジュールの中で成果を出してきた2達人が伝授する。

岩瀬さんの場合

ライフネット生命副社長 
岩瀬大輔氏

何らかのプロジェクトを行う際や大きなイベント、プレゼンテーションの準備をするときには、自分なりの時間感覚を持つことが大事です。マラソンに例えれば、今どのあたりを走っていて疲れ具合はどれくらいか、ラストスパートするためには、どれくらいの余力を温存すればいいかというペース配分を常に意識する。

人によってペースは違うので、まずは自分の勝ちパターンを知り、ペース配分をします。早めに取りかかって先行逃げ切りが得意なタイプもいれば、終盤に馬力を発揮して追い込むタイプもいます。私の場合は後者で、プレゼンの準備や原稿を書く際、本番3日前の段階でまったく取りかかっていなくても、材料が揃っていたり構想や切り口が見えていたりすれば、追い込んで最後にはいいアウトプットが出せるというのが経験則になっています。

仮に早く資料づくりに取りかかったとしても、おもしろい切り口が見えてこないと直前で不安になってしまう。

そのため、たとえば準備に1カ月期間があれば、最初はとにかく材料を集めることに専念します。本を買い込み、ネットで関連する記事やブログを探してダウンロードする。読まなくてもいいから、まずは材料を集めて手元に置いておくのです。