1分でも勉強はできる

次に、見つけた隙間時間でそれぞれ何ができるかを考えます。

たとえば1分、3分、5分、10分、30分といった細切れ時間があったら、それぞれ何ができるでしょうか。

「1分なんて何もできない」と思うかもしれませんが、実は1分というのは、思っている以上に長い時間です。

私はラジオ番組に出演していたとき、ラジオで時報まで1分くらいしか時間がなくても、ひとつの話はできました。テレビの場合はもっと短く、1分以上もコメントするのはまず許されません。

テレビの情報番組などを見ていれば、ほとんどのコメンテーターは1分もしゃべっていないことに気づくと思います。5分のコーナーで、そのうち2~3分はVTRを流し、それを受けて4人のコメンテーターがそれぞれ話すとなれば、1人あたりの持ち時間はせいぜい数十秒というところです。

1分あれば、「簡単なメールの返信をする」「短い文章に目を通す」「単語をひとつ覚える」など、いろいろなことができます。

3分ともなると、さらにいろいろなことに使えます。3分話すだけでも、400字詰め原稿用紙3枚分ほどの文字量が必要になりますから、かなり大変です。結婚式のスピーチでも、5分話されたら相当長いと感じるはずです。

文章を読むスピードでいうと、1分でだいたい原稿用紙2枚分(800字)の文章が読めるはずです。週刊誌1ページの文章量が1200字程度ですから、1ページを読むのに1分半はかからないと思います。4ページの特集でも、5〜6分もあれば読めるでしょう。

このように、短い時間にできることは、思いのほかたくさんあります。もちろん個人差はありますが、それぞれの時間に自分は何ができるかをつかんでおくと、時間が空いたときにそこに組み込んでいくことができます。

まず、使える時間がどれぐらいあるかを知り、次にその使い道を考えます。たとえば、朝の通勤時に電車を待っている時間が毎朝5分あるなら、新聞でも週刊誌でも、その5分で読めるものを用意して読む。

あるいは資格試験の勉強なら3問解くとか、前日にやったことの復習をする。10分の空き時間があれば企画書の手直しをする、30分あれば本を20ページ読む、というふうに、隙間時間を有効利用することを考えてみてください。

「朝の脳」と「夜の脳」を使うタイムリー勉強法

たとえば朝と夜に1時間ずつ勉強時間がとれたとして、どちらも同じことをすればいいかというと、そうとは言えません。

最近の脳科学の研究で、人間の脳の特性は時間帯によって違うことがわかってきています。朝と夜では脳の働き方が異なるので、それに合わせた勉強をするのが合理的です。

まず明らかなのは、疲れれば疲れるほど脳の働きは悪くなるということです。脳がもっとも疲れていない時間帯といえば、睡眠をとったばかりの朝です。

しかし、多くのビジネスマンは、この時間帯に満員電車で体力を消耗してしまい、せっかくの「朝の脳」のよさを活かせていません。

通勤で疲れないようにするために、職場の近くに住むことができれば理想的ですが、それが現実的ではないのであれば、朝早く起きて通勤前に勉強することをすすめます。

早く起きるためには、早く寝ることに限ります。昨今のテレビは遅い時間にバラエティ番組が多く、わざわざチェックする必要のある番組も少ないので、23時に寝ることにしても不都合はあまりないはずです。

23時に就寝すれば、6時間睡眠をとったとしても5時には起きられます。7時半に家を出るとしても、2時間ほど勉強ができるわけで、それを週5日行えば10時間ですから、かなりの勉強量になります。

朝は、パッと布団から出てしまいましょう。起き抜けのルーティーンを決めるのも有効です。コーヒーを飲む、シャワーを浴びる、軽い運動をするなど、睡眠からの切り替えを大切にします。

写真=iStock.com/TuiPhotoengineer
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脳が疲れていない朝は「頭がさえている」状態ですから、それをうまく使って「考える勉強」をします。「資格試験の問題を解く」「難しい思考を伴う読書をする」「企画のアイデアを練る」といったことを、朝に行うといいでしょう。