考えるほど動けないなら自分の直感を信じよう

私は出版業界で働いていますが、どんな本が売れるかなど、計算や予測ができませんから、もう直感で動くしかないと割り切っています。直感的にこのテーマの本を書こう、と決めて、手あたり次第に仕事をしている感じです。

じっくりとテーマを熟慮して、売れる本を作ろうなどと考えていたら、いつまでも動けません。売れる本など、わかるわけがないからです。考えるだけムダなことは、しないほうがいいに決まっています。とりあえず自分の直感を信じることにしましょう。

そのほうがスピーディーに行動することができます。

アメリカにあるプリンストン大学のダニエル・カーネマンは、お医者さんが診断をするときや、消防士が火災現場に突入すべきかどうかの判断をするときにも、直感は大いに役立つと指摘しています。熟慮ばかりしていても、埒が明きません。

どんなに考えても正解がわからない状況では、とにかく自分の直感を信じて行動するという自分なりのルールを作っておきましょう。そのほうが悩んだり、迷ったりしなくてすみます。

見栄を張るのも立派なモチベーションだと考えてみる

見栄を張ることは良いことです。なぜなら、見栄を張って、「カッコ悪いところは見せられない」「情けない姿を見せられない」という気持ちは、本人にとってものすごく大きな意欲を引き出すことに役立つからです。

見栄を張らない人は、自分がどう他人に評価されてもかまわないと思っているので、やる気も出ません。そう考えると、見栄っ張りな人間であることは決して悪いことではないといえるでしょう。

アメリカにあるカリフォルニア大学サンタバーバラ校のチャールズ・ウォーリンガムは、ジョギングコースで走っている男性が90ヤード(約82メートル)を走り抜ける速さをこっそりと測定してみました。

写真=iStock.com/martin-dm
※写真はイメージです

ただし真ん中の45ヤード地点にある芝生のところにはアシスタントの女性がいます。その女性は条件によって、ジョギングしている人をじっと見つめていることもあれば、あるいは背中を向けて読書中、ということもありました。

すると面白いことがわかりました。女性が見つめていると、ジョギングしている人たちはみなペースアップすることがわかったのです。

それまではフラフラしながら走っていた人でも、「女性がこちらを見ている」ということに気づくと、背筋をちゃんと伸ばして、腕も力強く振り始め、ペースアップしたのです。

その心理はおそらく見栄です。「女性の前で情けない姿を見せるのは恥だ」という気持ちが、ペースアップさせたのでしょう。