赤ワインには健康成分が含まれている
それ以外として、私が効果を実験で確認した成分として、ブドウ種子に含まれるレスベラトロール、青魚に含まれるオメガ3脂肪酸のドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、大豆イソフラボンのダイゼイン、ゲニステイン、お茶に含まれるカテキン類、同じくお茶に含まれるテアニン、玉ねぎやセロリに含まれるルテオリン、マグロやカツオなど動物の筋肉に含まれるアンセリンなどが挙げられます。
これらの成分について、なぜ効果があるのか詳しく解説していきましょう。
まず、レスベラトロールです。レスベラトロールはブドウの種子に多く含まれています。赤ワインには含まれていますが、白ワインには含まれていません。なぜかというと、赤ワインはブドウを醸造する際に、皮や種子ごとブドウジュースを絞り出し、発酵させます。白ワインの場合は皮や種子をブドウジュースから取り除いて発酵させます。ですので、白ワインの原料に種子は含まれていないため、レスベラトロールも含まれないわけです。
フランス料理はとても脂肪分が多いにもかかわらず、フランス人にはメタボリックシンドロームの有病率が低いといわれています。これをフレンチパラドックスとよびます。フランス人が赤ワインを多飲するためだとの説があります。
レスベラトロールは、メタボリックシンドロームなどの肥満が原因となる疾患に有効な成分です。ですので、フレンチパラドックスの理由にレスベラトロールが関係しているとの説は、最も有力な説といえるでしょう。
効果を期待するには「赤ワイン3本」飲まなければいけない
しかし、赤ワイン1本に含まれるレスベラトロールの量は1〜5mg程度であり、メタボリックシンドロームに有効とする濃度で換算するとおよそ赤ワイン3本が必要になってしまいます。
つまり、メタボリックシンドローム予防に赤ワインを飲むとアルコール依存症になってしまいかねません。このことは、フレンチパラドックスの理由づけにレスベラトロールは適合しないかもしれませんが、赤ワインの継続的摂取がメタボリックシンドロームの予防や治療に関与しないとまでは言い切れません。
レスベラトロールは世界で最も需要と販売量が多い機能性食品です。レスベラトロールの有効性を示す論文の数は数千を超え、世界で最も信頼性の高い食品成分といっても過言ではありません。だからといって本当に効果があるとは言い切れないのも事実です。
しかし、私がいくつかの試験で有効性を評価した結果では、多数の試験結果を追従する内容であったことをここで証言します。
レスベラトロールの効果を初めて論文で報告したのは、アメリカの研究者、ハーバード大学教授のデビッド・シンクレア氏です。氏はアメリカでこの研究に関するベンチャー企業を立ち上げ、多額の研究費を獲得しました。多くの製薬企業がこの研究に注目し、世界中の研究者がレスベラトロールに注目しました。