「本当に効く健康食品」を見分ける方法はあるのか。東京工科大学名誉教授の今井伸二郎さんは「『トクホ』と呼ばれている特定保健用食品は厳格な国の審査によって認可されているため、安全性や有効性が保証されている。一方、機能性表示食品は国が審査を行うわけではないため、安全性や有効性が保証されているとはいえない」という――。

※本稿は、今井伸二郎『最新科学で発見された正しい寿命の延ばし方』(総合法令出版)の一部を再編集したものです。

陳列棚の前の女性
写真=iStock.com/SDI Productions
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「トクホ」には厳しい基準が定められている

読者の皆さまもトクホという言葉はご存じのことと思います。トクホは特定保健用食品のことで、特定保健用食品は、体の生理学的機能などに影響を与える保健効能成分(関与成分)を含み、その摂取により、特定の保健の目的が期待できる旨の表示(保健の用途の表示)をする食品です。

この特定保健用食品を販売するには、その食品ごとに有効性や安全性について国の審査を受け、許可を得なければなりません。この特定保健用食品は、健康増進法第43条第1項という法律で規定され、その認可には厳しい審査がなされて、はじめて承認されます。審議が厳しい分、その食品に問題があった場合、責任は開発企業のみではなく、認可した国も負わなければなりません。

一方、2015年新たに機能性表示食品制度という食品に関する法律が施行されました。この機能性表示食品制度は国の定めるルールに基づき、事業者が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要な事項を、販売前に消費者庁長官に届け出れば、機能性を表示することができる制度です。

特定保健用食品とは異なり、国が審査を行うわけではありませんので、事業者は自らの責任において、科学的根拠を基に適正な表示を行う必要があります。つまり、この制度での食品販売で問題が生じた場合は、国は責任を負わないわけです。