キャラを明確にするには枕詞が効果的
そこで発言を求められた時は、最初に一言こう言えばいいのです。
「技術の人間としては」
この枕詞があると自分のキャラ設定が明確になります。あとは自分の思ったこと、感じたこと、何を言っても大丈夫です。
「技術の人間としては、営業の話は難しかったのですが、皆さんが売りやすいものを作るようにこれからも頑張ります」
このように自分の立場を明確にしてから発言すると、率直な感想を話すだけでも納得感がありますし、自信を持って発言できるでしょう。勉強会や交流会など、初めての場所に行った時も同じです。感想を求められたらいいことを言おうとせずに、「初参加だったんですけれど」とひと言添えて、あとは素直な気持ちを伝えれば問題ありません。
「初参加でドキドキしたんですけれど、いい人ばっかりで安心しました」
このくらいで大丈夫です。むしろ、正直な感じがあって、好感を持たれるんじゃないでしょうか。キャラ設定を明確にするということは、簡単なわりにこのぐらい強力なのです。
それぞれの立場に役割がある
「格上の人と話す時に緊張してしまう」というケースでも同じです。
例えば、会社の上司や社長、またはパーティで会った業界の有名人などに対して、「何を話せばいいかわからない」「気を使う」「緊張する」ということもあると思います。この緊張も、自分が何者なのかを忘れているのが原因です。
私が新入社員の時、会社の役員と新入社員が交流する機会がありました。私も他の同期たちも、役員たちは雲の上の存在だと思い、緊張するし何を話していいかわかりませんでした。その時、常務取締役の一人が、緊張する新入社員たちにこう言ってくれました。
「社長だからえらいわけではなくて、社長というのも単なる役割だよ」
そして、さらに野球を例にして「役割」について説明してくれました。野球では、4番バッターはたくさんのホームランを打つヒーローかもしれません。しかし、そんな強打者だけでは野球はできません。1番バッターは「出塁する」、2番バッターは「バントでランナーを2塁に送る」など、それぞれの打順のバッターに役割があります。全員がそれぞれの役割を果たすことで試合が成り立つのです。
4番バッターがえらくて他はえらくないなんてことはないのです。それぞれ役割が違うだけで、誰もが重要な存在なのです。