「電気泥棒」で検挙されたケース

電気は会社の財物ですので、会社のコンセントを使って勝手にスマホを充電することは電気を盗んでいるのと同じになり窃盗罪に問われる可能性があるのです。これは、スマホに限ったことではなく、私用の電子機器を会社の電源を使って充電している場合も同様です。

とはいえ、スマホの充電に使う電気代は微々たるものですよね。大した電気代じゃないからそれくらいいいだろうと思う人も多いと思います。

ただ、電気の無断使用はたかが1円でも犯罪になってしまいます。1円の電気窃盗で実際に書類送検された事例は複数あります。

2004年2月、出張中の男性会社員がJR名古屋駅構内の公衆電話の中にあった清掃用の電源コンセントでノートパソコンを使用し、窃盗の疑いで書類送検されました。

2003年9月、男性会社員がドーナツショップの電光看板の電源コンセントを使って携帯電話を充電し、窃盗の疑いで書類送検されました。

被害額はいずれも電気代約1円でした。

また、実際に逮捕され裁判になったケースもあります。

電気料金の滞納で電気を止められた男性が、アパートの共用コンセントから電気を使ってテレビを見ていたという事件です。この時の電気代は約2円50銭でした。この男性には懲役1年(執行猶予3年)の刑が言い渡されました(大阪地判平22・4・13)。

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このように盗んだ電気代の多寡に関係なく、電気窃盗は裁判まで進むケースもあるのです。

これは街中でのことですが、会社においても同じことがいえるでしょう。

禁止にもかかわらず充電した場合は窃盗罪が成立

では、会社で私用のスマホを充電した従業員にペナルティーを与えることはできるのでしょうか。

前述したとおり、無断で他人の電気を使用する行為は窃盗罪にあたります。

会社が電源の私的利用を禁止していたにもかかわらず、勝手に私用スマホを充電した場合は、窃盗罪が成立することになります。

たとえば、会社の規定などで「私用の充電は禁止」と明示されていたり、普段から「私用の充電は禁止」と会社から繰り返し周知されているにもかかわらず、私用のスマホやタブレットを充電した場合です。