職場で私物のスマホを充電してもいいのだろうか。社会保険労務士の桐生由紀さんは「無断で他人の電気を使う行為は窃盗罪になる。特に禁止されているのに充電をやめない場合は、懲戒処分は避けられない」という――。
バッテリー切れのスマートフォンを充電しようとしている手元
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「外出先でのスマホ充電」の法的解釈

外出先でスマホやパソコンを利用する姿は当たり前になってきています。

最近では、充電できるカフェなども街中に増えてきました。

同じように会社でも会社のコンセントを使って私用のスマホを充電している人も多いのではないでしょうか。

会社でのスマホ充電は「会社の電気を勝手に使うのは電気泥棒だ」という反対派の意見もありますが「スマホの充電くらい許容してほしい」「電気代は少額だし問題ない」という肯定派の意見も多く、会社での充電に関しての「当たり前」は人それぞれです。

ただ、電気窃盗は近年問題視され身近な問題になっています。

カフェ、レストラン、トイレ、いたるところにコンセントはありますが、これらのコンセントを利用してスマホやパソコンを充電した人が逮捕されたケースもあります。

これは会社の中においても同じことがいえるでしょう。

普段何気なく行ってしまっている会社でのスマホ充電は、法律的に問題はないのでしょうか。

今回は、雇用の専門家である社労士の立場から、会社でのスマホ充電に関わる問題やその対策ついて法的な論点から考えたいと思います。

電気であっても「財物」であり窃盗が成立

会社で私用のスマホを充電したら、罪になるのでしょうか。

法律では、他人の財物を窃取した者は窃盗罪(刑法第235条)とされると定められています。窃盗は他人のものを盗む行為です。

そして、ここでいう「財物」とは、お金や財布、店舗の商品、自動車など財産的に価値があるものとされており、電気もその対象となります。

電気は目に見えないため、盗むという言葉が不思議に感じられるかもしれません。

しかし、刑法第245条で電気は「財物」として扱うべきと法律で定められているので、他人の電気を勝手に使用すると窃盗罪の対象になってしまうのです。