「英会話NOVA」「晴れ着はれのひ」と共通している
脱毛サロン「銀座カラー」を展開するエム・シーネットワークスジャパン(東京都港区)が12月15日、破産手続きに入ったと報じられました。負債総額は約58億円、債権者数は10万人にのぼるといわれています。
銀座カラーといえば有名タレントを起用したCMや電車の中吊り広告を積極的に出しており、言わずと知れた脱毛サロン業界の大手です。突然の倒産劇に驚いた人も多いのではないでしょうか。
債権者数が10万人と大きいのは、銀座カラーの負債の大半が会員からの前受金だったためです。負債総額を10万人で単純に割ればひとりあたりの被害額は平均5万8000円。ただ最大被害を考えると、後述するようなさまざまな割引後の12回保証コースが実質価格で総額19万8000円、全身脱毛し放題コース3年の場合は実質総額が39万円となるため、仮に一括前払いで入会した直後に倒産のニュースを耳にした会員は、かなり甚大な被害を受けることになりそうです。
脱毛サロン業界はこれまでも小規模なサロンの閉鎖も多く、さらに大手でも2017年にエターナルラビリンス、2022年に脱毛ラボが経営破綻しています。他業態でも2007年の英会話のNOVAの倒産や、2017年の格安旅行会社てるみくらぶ、2018年の晴れ着レンタル会社はれのひの破綻など、前金が返ってこないまま消費者が大きな被害を受ける倒産劇が繰り返されています。
なぜ「前受金ビジネス」は危ないのか
この記事では、
①なぜこのように多くの会員から前払いで多額の施術料を集めたうえでの倒産被害が起きてしまうのか?
②なぜこのような問題が繰り返されるのか?行政は何をやっているのか?
について考えてみたいと思います。
銀座カラーで一体、何が起きていたのか。今回、銀座カラーの会員である知人女性に話を聞くことができました。
この女性はおよそ2年前、銀座カラーの友人紹介割引キャンペーンをきっかけに契約しました。プランは「全身脱毛(VIO含む)脱毛し放題」に加え、銀座カラーの提携先である医療脱毛「じぶんクリニック」でも2回、医療脱毛を受けられるという内容でした。彼女は毎月7300円の分割払いにしたそうですが、SNSを見ると「一括前払い」で契約してしまい返金されず、悲嘆に暮れている会員も多く見かけます。
これは銀座カラーに限らず、これまで社会問題になった前受金ビジネスを展開したうえで経営破綻した企業に共通する話です。前受金を会員から受け取るサービスは世の中全般で多いので、それを単純に危ないと言うことはできませんが、ひとつ間違うと銀座カラーのように危うい状況になりかねません。