かぜをひいても、もう医師は要らない?

生成AIによって、世界中の医療体制も向上する可能性がある。かぜなどを生成AIが診断し、必要な処方箋を発行する。近隣のドラッグストアからドローンで治療薬を患者に届ける。治療データを分析することで、新しいワクチンや医薬品の開発も加速する。そうした変化が目の前に迫りつつある。

それらは、これまでの社会常識を大きく変えることになる。教育、医療、社会インフラなどが発展途中の新興国では、主要先進国を上回るスピードで生成AIが社会全体に浸透する可能性もあるだろう。生成AIは、従来の経験則が当てはまらない(非連続的な)世界の変化を加速しようとしている。

生成AIの推論の性能(精度)を高めるためには、データセンターを増やし、深層学習を強化することが必要になる。それに伴い、電力需要は急速に増加する。需要を満たすために“核融合発電”など、新しい技術の実用化を目指す企業は増えている。

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「人類の知能以上のAI」の誕生はおとぎ話ではない

当初、AIはアップルの“Siri”やアマゾンの“アレクサ”など、音声リモコンのような機能として使われ始めた。現在、AIは、ビッグデータを学習し、文字を生成するAIモデル(生成AI)に発展した。MnM(マイクロソフト、エヌビディア、メタ)などは牽引役だ。

当面は、生成AIの性能向上のためデータセンター需要が増える。世界中のあらゆる分野で、多くの生成AIが使われるようになる。それは、関連分野でも多くの需要創出を支える。スマホに搭載するAIチップ、データセンター向けのGPUなど先端分野の半導体需要は増加する。先端の半導体製造装置などの精密機械、AIデバイスに使われる新素材の需要も増えるだろう。

少し長い目で見ると、生成AIから“AGI(Artificial General Intelligence、汎用はんよう人工知能、汎用AI)”に向かうと予想される。汎用AIとは、わたしたち人類の知能以上の能力を持つAIをいう。汎用AIがいったいどのようなものか、わたしたちの生活やビジネスにどのようなインパクトをもたらすか、今後のAIの展開次第ということになるだろう。