唯一、アップルの対応が遅れている
ソーシャル・ネットワーキング・サービス事業で成長したメタは、ビジネスモデルの再構築を急ぐ。広告事業面では短編動画サービス“リール”を導入した。短編動画を用いた広告サービスが企業のニーズにマッチし、広告収入は増加した。
メタは大胆な人員削減も実行した。2023年、22%の従業員をカットし、生成AI分野へ“ヒト・モノ・カネ”の再配分を強化した。昨年12月、生成AI分野での事業運営体制を強化するためにメタは法人向けのAIサービスで収益が伸びているIBMなどと提携を交わした。一連の改革はメタの成長期待を大きく高めた。
MnMを追いかけるように、グーグルとアマゾンは生成AI関連事業を強化し、AI対応半導体の開発体制も強化し始めた。一方、アップルの2022年12月期からの売上高は2%増、1株あたりの利益は16%増で、同期間のマイクロソフトやグーグルを大きく下回っている。AIへの対応も遅れた。同社は生成AI事業をどう進めるか、まだ詳細は外部には明確に示されていない。
AI関連企業と業態は異なるが、テスラは中国のBYDの猛烈な追い上げに直面し世界トップのEVメーカーから滑り落ちた。生成AIへの対応力で、米国の株式市場の注目は“マグニフィセント7”から“MnM”に移り始めた。
AIはアフリカの人材難さえも解決してしまう
世界の生成AI業界は、まだ成長の初期段階にあると考えられる。現在、生成AIの利用というと、検索情報から作成される文章、データを使ったレポート作成などを思い浮かべるだろう。しかし、それらは生成AIの機能のほんの一部に過ぎない。
今後、AIは経済・環境・安全保障などあらゆる分野で重要な役割を果たすようになるとみられる。そのインパクトは、かつての産業革命を凌駕するほどとの指摘もある。それこそ、AIは私たちが生きている間に目にすることになる、最も大きな変革になるかもしれない。
一つ注目したいのは、その変革が先進諸国だけにとどまらないことだ。新興国など世界中で生成AIが活用されることになる。ケニアでは、教育系スタートアップ企業の“Kytabu(キタブ)”が教育アプリ“ソマナシ(スワヒリ語で共に学ぶの意味)”を試験導入した。教員の不足、現地の言語での教育が十分に実施できないなどの課題を、生成AIがこれまで経験したことのないスピードで解決することになりそうだ。